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2023-09-19 13:56:00

 

 

文化庁が今年3月時点で各地方自治体向けに行った日本語教育の取り組みに関する調査で、オンライン日本語教育の実施状況が明らかになった。都道府県と政令指定都市を合わせた全国66自治体(回答自治体)の内、オンラインによる日本語教育を「行っている」と回答したところが44%(29自治体)に達し、「行うことを検討中(15自治体、23%)」を合わせると、全体の3分の2を占めている。一方、「行ったことはない」は16自治体(24%)で、このほか、以前に「行っていたが現在は行っていない」も6自治体あった。

 

これらの内、「行っている」か、又は「行うことを検討中」とした自治体で、オンライン日本語教育に至った理由や目的を尋ねた設問(複数回答可)では、半数の33自治体が「対面よりも時間や場所を選ばず学習ができるため」を挙げ、「新型コロナウイルスの流行によって対面での教室の開催が難しい状況となったため」の27自治体を上回っている。日本語教育の「空白地域の解消のため」とする回答も同数(27自治体)あった。

 

個別の回答では、「日本語教室がある市街地から離れた地域に住む外国人が多い(愛媛県)」とか、「地理的な特性により、交通の事情で講座に参加できない在留外国人もいる(鹿児島県)」など学習アクセスの確保を理由に挙げた自治体のほか、「もっと勉強したいという学習者のニーズに応えるため(青森県)」や、「市町村等がオンライン形式の日本語教室を開催する場合のモデルとして示すため(千葉県)」とする活用例もみられた。

 

※「生活」者に対する日本語教育で 日本語教育機関との連携に期待の声

 

政府は「生活者としての外国人」が地域社会に溶け込めるようにしていく上で日本語教育を重視しており、文化庁などが各地域における日本語教育の総合的な体制づくりを支援してきた。現在検討中の日本語教育機関の新たな認定基準案では、「生活」の日本語教育課程を設置する機関に対し、地方自治体等と連携し教育課程を編成する等の実績に基づいた、連携体制の構築を求めている。具体的には教育機関の主任教員等が、産業界や地域のニーズを踏まえ教育課程を設定するコーディネーターとしての役割を担う形などを想定しているとみられる。

 

今回の文化庁調査では、各地方自治体に日本語教育機関との日本語教育に関係する連携状況についても尋ねており、連携を「行っている」が58%(38自治体)で、「行っていない」は26%(17自治体)、「将来的に行う予定」は15%(10自治体)だった。自治体側からは、「自治体に求められる修得レベルであるB1レベル(自立した言語使用者)を満たすためには、日本語教育機関との連携協力が不可欠(さいたま市)」との声や、「ボランティアが主体の対応には限界があり、日本語教育機関の持つ専門性を活かし、特に日本語のゼロ初級者への教育における協力を期待する(大阪市)」といった声が出ており、今後連携に向けた動きが本格化しそうだ。

 

★新法相、人材確保・育成目的の新制度へ対応

 

岸田文雄政権の内閣改造に伴い、新たに就任した小泉龍司法務大臣は就任後初の会見で、岸田首相から7項目に渡る政策課題への取り組みを指示されたことを明らかにした。具体的には、国民が頼れる司法改革の推進、人権救済、世界一安全な国づくりのほか、国際化対応の課題として、領土・領空・領海の警戒監視、観光立国にふさわしい入国管理の実現等が含まれる。

 

また外国人材関連では、技能実習制度の発展的解消と特定技能制度の適正化という政府方針を踏まえ、人材確保・育成を目的とする新たな制度の創設に向けた対応を求められたという。小泉氏は新制度に関し、政府の有識者会議が今年5月、法務大臣に提出した中間報告書で検討の方向性が示されており、今秋の最終報告書とりまとめに向けた議論の推移を注視していく考えを述べた。

 

8月までに新規入国外国人が1500万人に肉薄

 

今年8月の1か月間で、日本へ新規で入国した外国人の数が1979134人だったことが、出入国在留管理庁のまとめで分かった。月間ベースでコロナ禍後最高の数(220万人)となった7月に続き、単月で200万人前後の高水準を維持している。

 

入国者の出身国・地域別(概数)では韓国が553千人で最も多く、台湾369千人、中国(大陸)299千人、香港20万人、米国132千人等が続く。主要国・地域の中では中国(大陸)のみが前月より増えており、8月時点では一連のALPS処理水問題に起因する来日者への影響などはみられない。なお上記は観光客を含めた全ての新規入国者の集計値で、1月から8か月間の累計では1500万人に肉薄している(14342742人)。

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2023-09-11 15:25:00

 

~文科省調査で「グローバル人材育成と大学の国際化の状況」が明らかに~

 

文部科学省が全国の大学を対象に行った調査で、外国語授業や入学時期の多様化、海外大学との交流など、国際化対応に関する全般的な進捗状況が明らかになった。いずれの項目においても、コロナ禍前と比べれば一定の進展はあるものの、直近では概ね大きな変化はみられない。

 

同調査は令和410月から同5年1月にかけて行われ、全国の国公私立大学に、教育内容の改革・改善状況について尋ね、回答のあった775大学の状況をまとめたもの。各大学の令和3年度の状況が反映されており、大学教育の質向上に向けた取組、コロナ禍で進んだ遠隔授業の活用等のほか、「グローバル人材育成と大学の国際化の状況」についても個別に回答を得ている。

 

※英語による授業のみで卒業・修了できる学部・研究科は?

 

集計結果によると、回答があった大学の内、英語による授業のみで卒業(修了)できる学部・研究科の数は、学部が43大学(88学部)、研究科が118大学(295研究科)だった。前年度は学部43大学(86学部)、研究科106大学(276研究科)であり、学部の数はほぼ変わらないが、大学院が1割ほど増えている。このうち私大の学部では、早稲田大学の8学部、上智大学の6学部、立教大学の4学部等が先行しているほか、同志社大学(国際教育インスティチュート)、関西学院大学(国際学部)、中京大学(国際学部)等も、個別に英語対応済みだ。

 

4月以外の入国 留学生では進まず

 

一方で、海外からの留学生受入れにプラスになるとされてきた「4月以外の入学制度」を設けている大学は、学部段階が261大学(前年度257大学)、研究科段階が342大学(前年度341大学)で、こちらも前年度と大差なかった。ただ、実際にこの制度を活用し入学した外国人留学生の数をみると、学部で1708人(前年度1743人)、大学院で6315人(前年度6307人)にとどまっており、前年度との比較でみると学部では35人減少している。日本の年度開始時期である4月期以外の留学生の入国は、想定ほどには進んでいない状況が改めて浮き彫りになった形だ。

 

※大学の海外拠点は留学生募集が主目的

 

また海外の大学との間で大学間交流協定を締結中の大学は全体の87%(679大学)で、協定に基づく単位互換を行っている大学も同55%(432大学)に上ったが、この内ダブル・ディグリーの実施大学は217校と同3割を下回っている。さらに、海外に拠点を設置する大学は前年度と同じ160大学で全体の2割程度となっており、私大が99大学を占める。海外での活動内容の内、最も多かったのは「留学生の受入れを目指した募集活動(15%、121大学)」で、現地情報の収集や海外での広報活動なども多い。また日本人学生の留学・インターンシップに伴う現地での支援とか、帰国した元留学生や外国人研究者とのネットワーク維持を目的に挙げた回答もあった。

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2023-09-09 15:26:00

 

~教育未来創造会議第2次提言の工程表を閣議報告~

 

今年4月に政府の教育未来創造会議が公表した第2次提言(未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ〈J-MIRAI〉)に関連し、このほど実施に向けた工程表がまとまり、95日の閣議で報告が行われた。工程表には、第2次提言に盛り込まれた新たな留学生の派遣・受入れ方策や留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備等の取組について、今後10年間に渡る政策の実施プロセスがスケジュール付きで示されている。

この内、外国人留学生の受入れに関しては、2033年までに受入れ数40万人を目指す政府目標を改めて明記した上で、個別の施策ごとに必要な取組を、来年度までの当面と、中長期的なものに分けて具体的に記載した。

 

内容は多岐に渡るが、大学関連で注目される施策の中には、▶国費留学生制度の見直し、▶留学生の定員管理弾力化と在籍管理の徹底、▶日本語準備教育の整備、▶高度外国人材に係る在留資格の整備と就職支援、等が挙げられる。

 

※大学:留学生定員の弾力化や別科等の認定基準づくりが課題に

 

まず国費留学生制度では、年度内にも受入れ地域・分野の重点化や選考手続きのオンライン化など制度の見直しを進めるほか、国立大学における留学生の授業料設定を柔軟化する検討を行うと明記。留学生の定員管理については私立大学を含め、弾力化に向けた制度改正を来年3月までに行う方向性を打ち出した。一方で留学生の適切な在籍管理のために基準を策定し、「在籍管理非適正大学等」に該当する大学名の公表など、必要な措置の検討を2024年度までに行うとしている。

 

焦点となっている大学等における日本語準備教育(ファウンデーションコース)に関しては、来年4月に日本語教育機関認定法が施行されるのを前に、年度内にも準備教育施設及び大学別科等に適用される認定基準の内容を検討すると明記。来年度から2027年度にかけて、認定日本語教育機関としての正式な認定を順次実施していく方針が盛り込まれた。

 

さらに留学生の就職支援では、今年4月からスタートした新たな高度人材の受入れ制度(特別高度人材制度/未来創造人材制度)について、来年度をめどに一定の要件を満たす国内大学の卒業者にも適用する検討を進めるとしたほか、地域の大学や経済界が連携し立ち上げる「高度外国人材活躍地域コンソーシアム」を年度内に全国で6例程度形成するとした。

 

★専修学校:卒業後の就職要件見直しが焦点

 

一方、専修学校関連では、最近、留学生の就職支援に向けた制度面の見直しが急ピッチで進められている。今回の工程表にも、文部科学省が新たに創設した「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定校(専門学校)修了者を念頭に、卒業後の就職を目的とする在留資格の変更要件を大学卒業者と同等にするガイドライン改正が、2023年度中の工程に盛り込まれている。同時に、高度な日本語力を持つ大卒対象者に対し幅広い業務での就労を認めている「特定活動46号」の対象に、上記認定校を卒業した専門学校留学生も加えるとした。

 

また高等専修学校(専修学校高等課程)への留学要件を、高等学校と同等の扱いとする見直しも、20243月までに行われる見通しだ。

 

★日本語教育機関:認定法に基づく新制度の実施を明記

 

最後に、日本語教育機関の関係では、日本語教育機関認定法に基づき、2024年度までに日本語教育機関の認定制度と、登録日本語教員資格制度の運用を開始することを改めて工程表にも謳ったほか、日本語教員の養成研修を担う拠点6か所の整備については、今年度内に着実に実施するとした。さらに、非漢字圏出身者の増加を踏まえ、日本語教育機関の在学期間の取り扱いについて今後検討を行っていく方針も打ち出している。

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2023-08-29 16:04:00

 

~対前年比で14%増、6月試験合わせ5万人超える~

 

今年1112日に予定されている年度内2回目の日本留学試験(EJU)で、最終的な応募状況が明らかになった。日本学生支援機構(JASSO)のまとめによれば、日本国内で19852人、国外で5198人の計25050人が応募した。昨年11月試験の当初応募者数(21953人)との単純比較では14%の増加で、国内外共にほぼ同様の伸びとなった。

 

国内の受験地別では東京都が13951人と全国の7割を占め、大阪府(1757人)、京都府(1037人)、福岡県(727人)の順に多い。また国外は韓国・ソウルが2488人と群を抜き、香港(767人)、韓国・プサン(513人)、台湾・台北(258人)が続いている。この内、香港は、昨年11月試験(293人)から26倍に受験者数が急回復した。ベトナムはハノイとホーチミンを合わせて168人だった。

 

なお今年6月に行われた第1EJUの当初応募者も、今回第2回目とほぼ同水準となる25688人で、うち22602人(国内18317人、国外4285人)が実際に受験している。両試験を合わせると、今年度の当初応募者数は5万人を突破し(5738人)、前年度(39342人)からは1万人以上の増加で、回復傾向が鮮明となっている。今後実施される各大学等の2024年度入試の出願状況は、概ね堅調に推移しそうだ。

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2023-08-25 15:50:00

 

~コロナ禍前を上回るペース、中国が2万人で全体の3割近く~

 

今年上半期の6か月間で、新たに日本へ入国した外国人留学生が7万人に迫る水準となったことがわかった。コロナ禍以前の3年間、新規留学生の数はいずれも年間12万人台で、今年はそのペースを上回っていることになる。入国制限が段階的に緩和され、未入国のままだった留学予定者が一斉に入国した2022年(年間167128人)には及ばないものの、来日状況は今年も極めて順調に推移していると言える。

 

関係機関の情報をもとに本紙が集計したところ、「留学」の在留資格を新たに取得し、実際に日本へ入国した外国人は、今年1月から6月までの累計で69202人だった。出身国・地域別では、最多の中国が2万人に迫り(19688人)、全体の3割近くに達している。これに、4月以降急激に伸びたネパールが11508人で続く。ベトナムは7150人だった。上記3か国で、全入国留学生の55%を占める。ほかに韓国(4813人)、ミャンマー(3892人)、台湾(2575人)、アメリカ(2450人)、スリランカ(2352人)等も多い。さらにバングラデシュ(1313人)、インドネシア(1187人)、タイ(1076人)、モンゴル(1072人)も含めると、計12の国・地域が千人超となっている。欧州ではフランス(922人)が最多で、ロシアからも627人が入国したことがわかった。ウクライナからの留学生は19人にとどまっている。

 

なお香港は統計上、上記「中国」の数には含まれておらず、パスポート表記別で「中国香港」が818人、「英国香港」が96人の計914人だった。

 

6月単月では中国が全体の半数占める

 

 一方、今年6月の1か月間に新規で来日した留学生は6624人で、前月より減少した。元々、留学の端境期に当たることや、前月は4月期の遅れ入国組が上積みされたことも影響したとみられる。なお前月はネパールからの入国者が群を抜いて多かったが6月は517人にとどまり、逆に中国からの入国者が3210人と留学生全体のほぼ半数を占めている。両国のほか、ミャンマー(509人)、ベトナム(436人)、モンゴル(218人)、台湾(202人)からの入国者も一定数に上った。

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