インフォメーション
2022年中に日本へ新規入国した外国人留学生の数が、9月までの累計で14万3165人に達したことが判明した。出入国在留管理庁(入管庁)の統計では単年度ベースで史上最多の数となる。政府が2008年に留学生30万人計画を打ち出して以降、新規入国する留学生の数は年々増え続け、2016年に初めて単年度で10万人を突破。2018年には直近でピークとなる12万4269人を数えた。その後、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大した2020年に5万人を割り込み、水際対策が強化された昨年は1万1651人と、稀に見る低水準に落ち込んでいた。
政府はオミクロン株の影響を見極めた上で、今年3月から留学生など「中長期在留者」の入国を認めた。この間にコロナ禍で長期化した水際対策の下、入国できずにいた待機留学生らが大挙来日。入学シーズンの4月には、単月で4万6千人余りが入国した。
入管庁によれば、直近で9月の1か月間に在留資格「留学」を得て新たに入国した外国人は2万1488人。この時点で「留学」新規来日者の年間累計では、過去最多だった4年前の水準を超えた。
※9月の「観光」は前月比で倍増、「特定技能」は引き続き低水準
さらに「留学」以外の在留資格者をみると、1-9月の集計値で、「技能実習」が13万9919人と「留学」とほぼ同ペースで推移しているが、「特定技能1号」は1万4534人に止まっている。
また直近の動向では「短期滞在」の内、観光目的の入国者は8月が1万0826人だったが、9月は1万9013人とほぼ倍増した。政府は今月11日より個人観光客の入国を認めるなど追加の水際緩和に踏み切っており、10月以降はさらに増えることが確実な情勢だ。
★6月時点の留学生在留者は26万人 増勢に転じる
一方、今年6月末時点で日本に在留する留学生の数(在留資格「留学」所持者)は26万0767人となり、昨年末(20万7830人)との比較で5万人強(25.5%)増えたことが出入国在留管理庁(入管庁)のまとめで分かった。半年ごとの調査ベースでは、1年半ぶりに増勢に転じたことになる。3月から水際対策が緩和され新規入国者が戻ってきたことが、大きな要因とみられる。
在日留学生の出身国・地域別では、最多の中国が対昨年末比16%増の11万2243人と、堅調な回復ぶりを見せていて、全留学生に占める割合も43%と圧倒的だ。中国の次に多いベトナムは同4%減の4万4358人と戻りが鈍い。ここに来て留学来日者数が伸びているネパールは、同9割増の3万2336人に達した。これら主要3か国以外では韓国(1万2584人)、インドネシア(6330人)、台湾(5387人)、タイ(3379人)、米国(2175人)などが相当数に上る。
在日留学生を都道府県別にみると、東京都(7万9255人)を筆頭に、他の地域ブロック別では大阪府(2万8666人)、福岡県(1万7177人)、愛知県(1万2917人)等が多く、首都圏では埼玉、神奈川、千葉の3県も1万人を超えている。
なお上記の留学生総数は在留資格「留学」の所持者をベースにしたもので、教育機関ごとの在籍数を累計した日本学生支援機構(JASSO)による「外国人留学生在籍状況調査」の結果とは異なる。
※「留学」生の不法残留は対コロナ禍前比で6割減
また今年7月1日現在における不法残留者の内、在留資格「留学」の者は2302人で、半年前の1月末(2436人)比で5.5%減少した。新型コロナウイルス感染症が拡大する2020年1月時点(5543人)との比較では6割近く減っている。単純比較でみた、在留資格「留学」に占める不法残留者の割合は0.8%にすぎない。
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11日の水際緩和以降、留学生らが日本へ入国する際にはワクチン接種証明書(3回分)または出国前72時間以内の検査(陰性)証明書のいずれかが必要な運用となっている。この内、入国時に有効なワクチン接種証明書に関しては、新たに中国製の不活化ワクチン等が対象として一部追加されるなど、最近、運用面で若干の変動が出ている。留学生等が入国前の準備段階でチェックしておくべきワクチン関連の注意点を整理する。
①有効なワクチン:WHOリストに未掲載のものは不可?
日本政府が有効と認めるワクチン接種証明書は、対象となるワクチンが具体的に指定されており、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの各社製等を始めとして、世界保健機関(WHO)の「新型コロナワクチン緊急使用リスト」に掲載されているワクチンの内、厚生労働省が別途指定したものも追加されている。
例えば留学生の出身国においてWHOリストに掲載されていないワクチンが承認されており、本人が同ワクチンしか接種していない場合には、入国の際に有効な接種証明書とは認められない。ただ、同ワクチンが、リスト掲載のワクチンメーカーから技術供与等を受けて製造された同じ製品名の場合には有効だという。
②「初回接種で2回分」扱いのワクチン:2回目に接種した場合は?
今回新たに認められた中国製ワクチン3種の内、カンシノ・バイオロジクス社(康希諾生物)製の「コンビディシア(CONVIDECIA)」については、初回接種に限り、1回の接種をもって2回分相当とみなす運用となっている。このため、1回目に同ワクチンを接種すると2回分扱いとなり、さらに3回目として例えばファイザー社製ワクチンを追加接種すれば有効となるが、逆に1回目にファイザー社製、2回目がカンシノ・バイオロジクス社製の場合には、追加接種が完了したことにはならず、上記要件を満たせない。なおヤンセン社製のワクチン「ジェコビデン」も、同様に「初回接種のみ2回分」として扱われる運用となっている。
③証明書の発行元:民間機関が発行の場合は無効?
これまで同様、日本入国時に提示するワクチン接種証明書は、留学生の出身国・地域の政府等、公的な機関で発行された証明書であることが求められ、民間機関等が発行するものは無効となるので、注意が必要だ。証明書には氏名、生年月日、ワクチン名またはメーカー、接種日、接種回数が、日本語または英語で記載されていることが求められる。なお、原本の内容が確認できるものであれば、「写し」でも可となっている。
④証明書の翻訳:自分で作成したものも有効?
留学生が自国で発行してもらった接種証明書は現地語のみで書かれ、英語の表記がないケースもある。この場合には日本入国時に、日本語または英語による翻訳を併せて提示しなければならないので、入国予定者は事前に作成しておく必要がある。この翻訳は、入国者自身が作成したものでも構わないとのことだ。
⑤証明書の有効期間:母国の有効期限は影響あるか?
国・地域によっては、発行済みのワクチン接種証明書に有効期限が設定されていて、日本入国時に同期限が切れていることもあり得る。ただこうしたケースでも、日本政府は現時点で3回目接種の有効期限などは設けていないので、3回目接種がきちんと確認でき、必要な要件を満たしていれば、入国時に有効な証明書として認められる。
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加藤勝信厚生労働大臣は11日の会見で、同日からの水際緩和に伴い入国する外国人観光客に求める感染対策について問われ、「国内における感染対策、三密を回避していただくとか、換気をしっかりやっていただくとか、マスクも必要に応じて着用していただくとか、こういったことは海外の方も含めてお願いをしていきたい」と述べた。日本人・外国人の区別なく、必要な状況下ではマスク着用を求める意向を示した形だ。
政府はマスクの着用に関して、屋外では原則不要、屋内でも2メートル程度の距離が確保でき会話をほとんど行わない場合には必要ないとの見解を示している。ただ明確な基準がなければ外国人にはなかなか伝わりにくい面もあるため、適切でわかりやすい情報の発信が今後の課題となりそうだ。
★ワクチン接種証明書 今後の扱いには言及せず
~官房長官、水際緩和の意義を強調~
松野博一官房長官は11日の会見で、同日より始まった水際緩和に関連し、入国者の入国時検査を免除する要件に3回のワクチン接種を求めている現行措置を、今後緩和する可能性について問われ、「ワクチン接種証明書等の提出も含め、今後の水際対策については、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、内外の感染状況やニーズ、主要国の水際措置の状況等を踏まえながら、適切に判断していく」とする従来の見解を繰り返し、具体的な方向性には言及しなかった。
水際緩和の意義に関しては円安メリットを活かしつつ、日本と海外との国際的な交流を一層活発化させることに寄与すると強調。同時に始まった全国旅行支援により、国内外からの観光旅行も促し、コロナ禍からの需要回復や地域の地域活性化につなげていきたいと述べた。
また林芳正外務大臣も同日の会見で、ワクチン接種の今後の扱いについて問われた際、官房長官と同様の見解を示した。
★告示取消の日本語学校、処分の効力停止で「授業継続が可能に」
在籍留学生に対する人権侵害行為があったとして、出入国在留管理庁から留学生を受入れる日本語教育機関としての告示を取り消された西日本国際教育学院(福岡県)は11日、福岡地方裁判所の決定(9月30日付)により告示抹消処分の効力が停止され、当面は在校生の授業受講が可能になったとする声明を発表した。
学院側は先の入管庁による処分に対して、告示抹消処分の取消を求める訴訟を福岡地裁に提起。これを受けて地裁では、同訴訟の第1審判決言い渡しまでの期間、処分の効力を停止する決定を下していた。その後、即時抗告期限までに入管庁側が抗告を行わず、同決定が確定した。
これを受けて西日本国際教育学院は「当学院の在校生につきましては、当該期間中、継続して授業を受講していただくことが可能となります」との学院長の見解を明らかにした。今後の見通しについては「裁判の状況にはよりますが、現状、第1審判決まで1年以上の期間を要すると代理人が申しており、(在籍学生の)卒業のタイミングまでの受講及び卒業が可能と考えております」としている。
一方で先の入管庁処分を踏まえ、学院側は学生サポートセンターを設置し、学生の受入れに前向きな日本語教育機関等との間で在籍学生の転校等に関する手続きを進めていたが、これらに関する今後の対応には触れていない。声明では今決定により「当面の間、在校生が引き続き当学院で学ぶことができ」るようになったことで、転校や引っ越し、在留資格更新等の「負荷が学生にかかることについて、一定程度状況の改善がなされました」と述べている。
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政府は今月11日以降の水際措置として、ワクチン接種証明書(3回)を提示可能な入国者に対し、入国時の新型コロナウイルス検査を一律免除するが、この際に有効とされるワクチンの中に、中国メーカーが開発した不活化ワクチンなど3種が含まれることが正式に決まった。
厚生労働省検疫所によると、有効なワクチン接種証明書として、新たに追加されたのは下記の3種となる。
①シノファーム(中国医薬集団)・北京生物製品研究所の「Covilo BBIBP-CorV不活化新型コロナワクチン(ベロ細胞)」
②シノバック・バイオテック(科興控股生物化学)の「コロナバック(CoronaVac)新型コロナワクチン(ベロ細胞)不活化」
③カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)の「コンビディシア(CONVIDECIA)
この内、①、②は3回接種が要件だが、③については初回接種に限り1回の接種で2回分相当とみなす運用が行われる。
またすでに認められているファイザー、モデルナ、アストラゼネカなど上記とは異なるワクチンを、1-3回目に組み合わせて接種した場合も、有効と認められる。
なお、入国者の滞在国・地域別区分で現在「青」区分となっている中国は、すでに有効なワクチン接種証明書の提示により、出国前・到着時とも検査が不要となっている。
★空港検疫の陽性者 9月は減少に転じる
厚生労働省によると、日本入国時の空港検疫で9月中に新型コロナウイルス検査を受診し、陽性が判明した人は587人で、内訳は日本国籍者が214人、外国籍者が373人だった。いずれも8月(日本国籍者348人、外国籍者514人)との比較で減少に転じている。国際的に感染者数が漸減傾向となっていることが背景にあるが、日本国内の検疫措置が段階的に緩和されていることも要因の一つだ。日本政府は6月以降、入国前の滞在国・地域ごとに感染リスクに応じて入国者をグループ分けし、ワクチン接種証明書の提示で到着時検査を不用とする運用を始めており、現状では大半の入国者に対して検査が実施されていない。
★都行政書士会がマイナンバーカード申請をサポート
~11日に東京・外国人在留支援センターにて~
出入国在留管理庁からの情報によれば、東京都行政書士会では10月11日に、外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)において、マイナンバーカードを申し込みたい人の相談受付と代理申請を行う。申込に際し持参が必要なのは、地方自治体から発送された「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」と、本人確認書類(在留カード、運転免許証、パスポート等)。写真は当日会場で撮影するという。
※日時:10月11日(火) 12:40~16:50
※申請場所:外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)
https://www.moj.go.jp/isa/support/fresc/fresc_4.1.html (アクセス)
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今月11日より水際緩和が行われ、留学生などの長期滞在者や観光・商用目的等の新規入国者について、入国者健康確認システム(ERFS)による事前申請が必要なくなるが、併せて「親族・知人訪問」目的で短期滞在ビザを申請する際の制限も、一部緩和される。外務省などによれば、申請時に必要とされていた、招聘人による誓約事項への同意が不要となるほか、知人訪問の内、これまで認められていなかったものや、通過目的の日本入国も可能になるという。
「親族・知人訪問」のスキームでは現在、「親族に準ずる関係が認められる者・訪日の必要性があると認められる者」で「短期滞在」の在留資格を取得した者に、入国対象が限定されていた。
★首相、所信表明でビザなし渡航再開に言及
岸田文雄首相は3日、臨時国会の所信表明演説で、「円安のメリットを最大限引き出して、国民に還元する政策対応を進める」とした上で、水際対策にも言及し、「今月11日から、ビザなし渡航、個人旅行再開など、インバウンド観光を復活させ、訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超の達成を目指す」と述べた。また全国旅行支援やイベント支援の再開により、コロナ禍からの需要回復と地域活性化を図る方針を重ねて示した。
さらに首相は今後取り組む課題として、円安メリットを活かした経済構造の強靭化や企業の国内回帰、農林水産物の輸出拡大等も挙げた。
★香港も水際緩和 外相「人的往来の回復に期待」
林芳正外相は4日、日本を訪問中の香港貿易発展局のピーター・ラム会長とマーガレット・フォン総裁による表敬を受けた際会談し、日本と香港の双方における水際緩和が人的往来の回復や、貿易・投資の発展につながることへの期待を表明した。同時に林大臣は香港が実施している日本産食品・農産物に対する輸入規制について、科学的根拠に基づく早期撤廃に向けた協力を強く要請した。
これに対してラム会長は今般の水際緩和を契機に、ビジネスと人的往来を活発化させることが双方にとって大きな利益をもたらすとの見解を示し、中国政府の重点プロジェクトとなっている「広東・香港・マカオ大湾区(GBA)」構想などを通じ、日港間の経済関係をより発展させたいとの希望を伝えたという。
香港政府は先月26日より、海外からの入境者に対して求めていた指定ホテル等における隔離措置を撤廃し、3日間の医学観察へと変更した。併せて、中国本土やマカオから隔離免除で香港に入境できる一日あたり上限数の設定も無くしている。
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