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〜来年度予算の概算要求:留学生や日本語教育関連の概要が判明〜
文部科学省は令和5年度予算の概算要求で、「優秀な外国人留学生の戦略的な受入れ」経費として260億円を盛り込んだ。今年度予算比では2億円の減額要求で、片や日本人学生の海外留学活性化へ向けた支援強化には同15億円増の86億円を計上した。先に岸田文雄首相が「『留学生30万人計画』を抜本的に見直し、留学生受入れだけでなく送り出しを加えた、新たな計画」の策定を指示したことも反映し、バランスに腐心した内訳となっている。
この内、受入れ関連では、外国人留学生向けの奨学金制度で学習奨励費(留学生受入れ促進プログラム)が今年度より308人分減らされて6746人分を見込むが、国費外国人留学生は現行枠(1万1344人)がそのまま維持された。奨学金関連の対象者が絞られた一方で、コロナ禍により急激に落ち込んだ留学生の国内就職立て直しを主眼に、「留学生就職促進プログラム」予算を9千万円増やし1億6千万円としたほか、「高度外国人材育成課程履修支援制度」として新規1千人分を計上している。日本学生支援機構(JASSO)関連では今年度比で、運営交付金が1億円、施設整備費補助金が2億1千万円、それぞれ減額された。
また上記とは別に、「日本語教育の質の向上」関連で、日本語教師の新たな資格試験システムの導入や試行試験等の実施経費として同1億8千万円増の2億3100万円が、また日本語教師の養成と現職日本語教師の研修事業向けに同1億900万円増の3億1千万円が、いずれも盛り込まれた。
高等専門学校関連では、引き続き、「KOSEN(高専)」の海外展開に向けた予算が組み込まれた。「重点3か国」と位置づけるモンゴル、タイ、ベトナムへの高専制度導入支援や、留学生の日本語教育体制の強化を目指すとしている。
★在留カードとマイナンバーカード一体化へ システム改修費を要求
一方、法務省は令和5年度予算に関連し、「外国人材の受入れ・共生社会の実現に向けた取組の推進」として、今年度比40億円増の271億4700万円を概算要求した。外国人在留インフォメーションセンターの拡充や、ウクライナ避難民への相談対応のほか、日本人を対象とした外国人との共生に関する意識調査の経費も含まれる。「デジタル化の推進」関連では、在留外国人が所持を義務づけられている在留カードとマイナンバーカードとを一体化し、利便性の向上を図るとして、必要となるシステム改修の費用も盛り込んでいる。また日本企業の海外進出などに対応し、法令の外国語訳を推進する考えも打ち出した。葉梨康弘法務大臣は30日の閣議後会見で、「2025年までに千本以上の英訳法令の公開を目指す」と述べ、ネイティブアドバイザーや法令翻訳のコーディネータ―のほか、AI翻訳についても充実を図るため、今年度予算で増額を目指す方針を明らかにした。
★「特定技能」12分野の受入れ上限数を閣議決定
~コロナ禍の影響踏まえ、分野ごとに大幅見直し
政府は8月31日、在留資格「特定技能」の運用に関する見直し方針を閣議決定した。新型コロナウイルス感染症の拡大で経済情勢が大きく変化していることを踏まえ、ほぼ全ての分野について外国人の受入れ想定数を見直した。
新たな運用方針によれば、「特定技能」の受入れ対象となる全12分野の内、今回受入れの上限数が最も増えるのは「飲食料品製造業」で、5万3200人増の8万7200人。同分野における都道府県別の有効求人倍率が、地域によっては5~7倍に高止まりしており、コロナ禍の影響を考慮しても、なお人材ニーズが不足すると見込んだ。また今春に3分野を統合した製造分野の「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」も、1万8300人増やして4万9750人とする。「農業」分野については、3万6500人の現行枠をそのまま維持する。
これらを除く9分野に関してはいずれも、現行の受入れ上限数が削減された。減少幅が特に大きかったのは「外食業」(2万2500人減の30500人)と「ビルクリーニング(1万7千人減の2万人)」、「宿泊(1万800人減の1万1200人)」の3分野。これらはコロナ禍による需要減少が特に甚大な業種であり、海外人材の来日にも支障が出ていた。
また分野別ではこれまで最多の受入れ数が見込まれていた「介護」も9100人減の5万900人となり、急増した「飲食料品製造業」を下回った。
さらに、建設(6千人減、3万4千人)、漁業(2700人減、6300人)、造船・舶用工業(2千人減、1万1千人)、航空(900人減、1300人)、自動車整備(500人減、6500人)の5分野も、上限数が相当割合減る形となった。
政府は上記の受入れ上限数について、当初、大きな経済情勢の変化が生じない限り、令和6年3月までを目途とするとしていたが、今回大幅な変更に踏み切った。なお、特定技能の受入れ総数は34万5150人で従来と変わらない。分野ごとの新たな上限数は当面、来年末を期限とする。
※日本語試験の方式も柔軟運用が可能に
一方、特定技能外国人の日本語能力を測る試験としては、これまで「国際交流基金日本語基礎テスト」と「日本語能力試験(N4以上)」の2試験が全分野において採用されてきたが、出入国在留管理庁では、先に文化審議会国語分科会で「日本語教育の参照枠」が取りまとめられたことにより、各日本語試験団体が実施する日本語試験についても、共通の指標による評価が可能になったと判断。今後は必要に応じて柔軟に、他の日本語試験を追加できるよう規定を整備する方針も固めた。 新たな日本語試験の追加については、試験実施機関からの申請を受け、分野を所管する省庁が法務省の確認なども踏まえ判断するという。
在留資格「特定技能」は、外国人留学生が日本の教育機関を修了後、日本で就職する際の受け皿ともなっていて、今回の運用見直しは一定の影響を与えそうだ。
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~岸田首相、「G7並みの円滑な入国へ、さらに緩和進める」~
岸田文雄首相は31日午前、対面での公務を再開するにあたって会見を行い、新型コロナに対する当面の政府方針を明らかにした。この中で水際対策に関し、9月7日より入国者数の上限を一日あたり5万人に引き上げるとともに、全ての国を対象に、添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国を可能とする考えを明らかにした。個人観光の解禁には言及しなかった。今後については「G7並みの円滑な入国が可能となるよう、さらに緩和を進めていきたい」と述べた。
また首相は、入国時の検疫手続きを簡素化する「ファストトラック」に必要な、健康居所確認アプリ「My SOS」を改善し、「空港での入国手続き円滑化を行う」考えも表明した。
※7月の一日あたり入国者は1万4千人、本格回復には追加緩和が不可避
政府は目下、海外から入国・帰国する人向けの水際措置として、入国者数の一日あたり上限総数について2万人を目途として設定しているが、出入国在留管理庁によれば、7月の入国者は単日平均値で1万4345人となっている。この内訳を見ると、日本人渡航者で帰国した人が8581人、外国人の再入国者が2170人で、これらを除く外国人の新規入国者は一日あたり3594人となっている。
新規入国者(単日平均値)の内訳では、短期滞在が2149人、技能実習が407人、留学が330人などとなっていて、留学は4月のピーク時に1500人を超え、5月も千人近くに達したが、入学シーズンの経過とともに、現在の水準に落ち着いた形だ。
現状では入国者の上限数が5万人に引き上げられたとしても、すでに留学や技能実習などの中長期在留者については、水際緩和前における入国待機組の内、相当割合が入国済みであり、今後も大幅に増えるとは言い難く、回復のカギを握るとみられるのは観光客だ。政府は6月より、添乗員付きの団体観光に限り入国を解禁したが、翌7月の入国者は一日あたりわずか225人に止まっている。当初、日本への旅行を希望していた外国人の間では、複雑なビザ申請手続きや防疫措置に加え、個人旅行が制限されていることから、日本を敬遠する傾向も顕著だという。
岸田首相は「G7並み」の水際措置を標榜する一方で、感染状況をにらみながら小出しの緩和を続けており、入国者総数引き上げが入国者数自体の本格回復につながるまでには、もう一段の追加措置が求められそうだ。
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~受入れ・送り出しの両面を視野 教育未来創造会議で来春までに具体策~
岸田文雄首相は29日、留学生受入れ戦略の柱となってきた「留学生30万人計画」について、見直しに向けた具体策の検討を永岡桂子文部科学大臣に指示した。
内閣官房の関係筋によれば、この中で岸田首相は「コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資具体化に向け、現在の留学生30万人計画を抜本的に見直し、留学生受入れだけでなく送り出しを加えた、新たな留学生受入れ・送り出し計画を策定すること」を求めたという。
同時に首相は、「留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備と、教育の国際化の促進」について、教育未来創造会議で具体策をとりまとめるよう指示した。とりまとめのスケジュールについては、G7サミットの開催を見据え、来春までを目途とする。
外国人留学生の受入れに関して、政府は2008年に当時の福田康夫内閣が打ち出した「留学生30万人計画」に基づき、受入れ拡大を推進した結果、留学生数は2019年に31万2千人といったんは目標を達成した。だがその後、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、来日者数が激減したことで再び大台を割り込み、直近の昨年5月時点では24万2千人まで減少している。文部科学省では先に発表した「高等教育を軸としたグローバル政策の方向性」において、5年後の2027年を目途に、受入れ留学生数を「少なくともコロナ禍前の水準に回復」させると謳った。
内閣官房の関係筋は30日、『留学生新聞』の取材に対し、今回の首相指示では留学生の新たな受入れの数値目標などには言及しておらず、具体的な中身は今後、関係閣僚や有識者を交えた同会議において議論が進められるとの見通しを語った。
★アフガン人133名を難民認定~昨年8月からの1年間
葉梨康弘法務大臣は26日の会見で、昨年8月から今年8月20日までの間に、日本への退避を希望するアフガニスタン人の内、133名を難民と正式に認定したことを明らかにした。アフガン難民をめぐっては直近の3週間で、大使館関係者など98名が認定されたとの情報があり、日本政府が短期間の内に特定国からこれだけ多くの難民認定を行うことは極めて異例といえる。
葉梨大臣は昨年8月以降に「申請を受け付けたのが143人」だったとした上で、「最新のアフガニスタン情勢を踏まえると、難民認定申請がなされた場合には、難民と認定すべき者は適切に認定していかなければならない」と述べた。
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~出身国(地域)別内訳が判明 ネパール2万人、ベトナム1万人が続く~
今年上半期(1-6月)の半年間で、新たに来日した外国人留学生(10万5032人)の内、中国出身者が約3万5千人(3万4499人)に上り、全体の32.8%を占めたことがわかった。中国に、ネパール(2万1270人)、ベトナム(1万850人)の両出身者を合わせた3か国の比率では6割を、さらに韓国(6563人)も加えると7割近くに達する形となっている。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、政府は一昨年から2年近くに渡って行ってきた新規留学生らに対する入国制限を今年3月に緩和した。「解禁」当初は、待機留学生の来日が相次いだこともあり、来日者の出身国籍は世界各地に分散化する傾向もみられたが、入国ラッシュを迎えた4、5月以降は、もともと留学生在籍数が多かった国・地域からの入国が急増している。
主要4か国以外で、今年上半期の留学来日者数が多かった国・地域は、インドネシア(2734人)、台湾(2706人)、スリランカ(2626人)、バングラデシュ(2536人)、ミャンマー(2523人)など。これらの他に千名以上が来日している国・地域はタイ、モンゴル、米国、香港、フランス、フィリピン、ウズベキスタンとなっている。この内、香港はパスポート表示で「中国香港」(1213人)の他に、「英国香港」でも149人が入国している。
一方、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵攻が開始されて以降、今月24日でちょうど半年が経過したが、2022年に入って以降、6月までに、ロシアから来日した留学生の数も、のべ681人に上る。また同期間に、ウクライナから「留学」の在留資格を取得し入国している人は43人で、日本政府が同国からの避難民受入れを開始した3月2日以降に来日した約1700人の内大多数が、在留資格「特定活動」による入国となっている。
※6月の月間来日者数では 中国が再逆転し首位に
なお、今年6月の1か月間に、在留資格「留学」を取得して来日した留学生(1万2951人)の出身国・地域別状況では、中国が6305人で再びトップとなった。5月に単月で国・地域別の首位に躍り出たネパールは、6月は2299人に止まった。ベトナムは732人だった。以下、バングラデシュ459人、韓国420人、ミャンマー266人、スリランカ243人、台湾233人、インドネシア227人、米国163人、モンゴル135人、タイ129人等となっている。
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~2年半ぶり、日本との留学相互往来が復活~
中国政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大以降停止していた外国からの留学生受入れを再開することを決めた。中国駐日本国大使館(東京)が23日、日本からの留学予定者を念頭に、ビザの申請受付を再開すると発表した。すでに有効な留学居留許可証を所持している人については、直接入学できるようになる。ビザの希望者はまず申請表をオンライン(https://www.visaforchina.org)上で入力・アップした上で、提出日時の予約を行う必要がある。
コロナ禍に入って以降、中国の大学に在籍中で一時出国した学生や、新規の留学希望者はいずれも入国・再入国ができなくなっており、中国日本商会などが現地政府に善処を求めていた。
中国の留学生の受入れ再開はほぼ2年半ぶりで、これにより今年3月の水際緩和により受入れを再開した日本と、双方向での留学往来が復活する。
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