インフォメーション
今年7月の1か月間に「留学」の在留資格を得て日本へ新規入国した外国人が1万227人だったことが、出入国在留管理庁(入管庁)のまとめで分かった。6月(1万2951人)との比較では2千人強の減少。これにより、3月の水際緩和後に新規で来日した留学生は11万5155人で、年明けからの累計では11万5259人となった。新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年までは年間にほぼ12万人の留学生が来日していて、今年は過去2年間に入国できなかった「待機留学生」の来日が相次いだ関係で、7月までに通常期の年間入国者数に匹敵する数に達したことになる。
また「留学」以外の7月の入国外国人は「短期滞在」が6万6632人で、うち「観光」は7903人だった。条件付きで団体観光が解禁された6月は252人のみだったが、7月は30倍以上に増えた。このほか「技能実習」が1万2610人、「特定技能1号」が1604人、「その他」が2万330人となっている。外国人全体の7月の新規入国者数は11万1403人だった。
一方、入管庁によると、7月の新規入国外国人を出身国・地域別に見ると、韓国が1万5833人で最多となったほか、中国(1万3017人)、米国(1万2177人)、ベトナム(1万29人)も含めた4か国が各1万人超となっている。さらにインドネシア(6106人)、フィリピン(5863人)、タイ(4366人)が続く。台湾は3295人、ネパールは3202人だった。
★海外人材の円滑・適正な受入れとインバウンド対応が課題
葉梨・新法務大臣、岸田首相からの指示内容に言及
第2次岸田改造内閣で新たに就任した葉梨康弘法務大臣は、初登庁後の会見で、岸田文雄首相から、法務行政の政策課題として6項目への取り組みを指示されたことを明らかにした。この中には、海外人材の受入れと、観光客の入国管理に関する2項目が含まれる。
まず海外人材の受入れについては、①一定の専門性、技能を有する外国人材を円滑に受入れる、②在留管理を徹底し、技能実習生の失踪等の不適切事案を防止する、③特定技能制度について技能実習制度の在り方を含め、総合的な検討を行う、④共生社会の実現に必要な環境整備を着実に進める、などとなっている。
また観光などインバウンド対応に関し、「ポストコロナの時代を見据え、観光立国に相応しい入国管理を実現する」ことへの対応も求められたという。
葉梨新大臣は安倍内閣下で2度に渡り、法務副大臣を歴任し、2018年からは衆議院法務委員長を担っており、首相から「法務行政に精通した政治家」として任に当たることを期待されての就任とみられる。
目下、法務行政においては外国人に関連する政策課題が山積しており、新大臣はこれらへの対応も引き継ぐ形になる。葉梨大臣は、前任の古川禎久前大臣が「制度の目的と実態が乖離している」として見直しの方針を示した技能実習制度について、「問題があることは間違いないが、それをどういった形で見直していくか、制度面、運用面、様々なオプションがある」と述べて、今秋以降、自身と官房長官をヘッドとする「外国人材の受入れ・共生に関する閣僚会議」の下で、有識者による検討を行っていく考えを示した。
昨年の通常国会で廃案となった入管法改正案については、「入管の不祥事の問題等々があり、先に進まなかった」経緯に言及した上で、庇護を必要とする避難民等への援助や適切な難民認定と同時に、国外退去処分とされた外国人の収容・送還の問題にも何らかの解決策が必要と指摘。新たな法案の提出時期は国会の会期を踏まえ、与党側と協議していく方針を明らかにした。
★都が地域日本語教育に係るオンライン会議を開催(傍聴可)
東京都は都内在住の外国人が、地域で日本語を学ぶために必要な体制づくりについて、有識者を交え検討するオンライン会議を8月19日に開催する。都内には今年7月1日現在、全都民人口の4%に相当する55万人の外国人が在住しており、コミュニティを支える存在となっている。こうした外国人らにとり、日本語は生活に不可欠なだけでなく、子女らの進学・就職においても重要性が高まりつつある。都では2020年から「東京の地域日本語教育に係る調整会議」を設け、日本語教育の総合的な体制づくりを検討してきた。今回の有識者会議はこの取り組みをさらに進めるための試みとなる。
会議は新型コロナウイルス感染症への対応の観点から、オンライン(Microsoft Teams)で行われる。希望者は傍聴も可能で、8月18日正午までに下記「申込宛先」までEメールで申し込む。アクセス数には限りがあるため、希望者多数の場合、先着順になるという。
「令和4年度 第1回東京の地域日本語教育に係る調整会議」
開催日時:8月19日(金) 10時から12時まで
申込宛先:S1121202(at)section.metro.tokyo.jp
※迷惑メール対策のため、表記を変更しています。上記(at)を@に置き換えてご利用ください。
申込:件名を、「【オンライン傍聴希望】 令和4年度 第1回東京の地域日本語教育に係る調整会議」とし、本文に(1)氏名(ふりがな)、(2)連絡先を記載してください。
※傍聴の可否は8月18日中にご連絡します。
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~文科省、令和6年度申請分から適用へ~
文部科学省は大学や短期大学、高等専門学校が新たな学部等を設置する際に、認可の基準を変更する。これまでは入学定員の平均的な超過率が1割未満であることを要件にしていたが、こうした方式を改めるとともに、収容定員の充足率が5割を上回ることを新たな認可要件に加える。
先に中央教育審議会大学分科会がまとめた提言で、各大学の定員管理を弾力化するよう求めていた。
具体的には大学の場合、従来は過去4年間の入学定員に対する入学者の割合を認可判断のベースとしていたが、今後は学部等の新設を申請する年度の総収容定員を基準とする形に改める。また既存学部の学生数が収容定員の半数を下回る場合には、新たな学部等の設置を認めない。
一方で収容定員を基準とする方式になれば、修業年限を超過して在籍している学生の割合が算定に影響しかねないため、授業計画書の公表や成績不振学生向けに個別指導を行っていることなどを条件に、超過期間が原則2年以内の対象者は、算定数からの除外を認める。
文科省ではこれらの改正案について現在、パブリックコメントの公募を行っており、10月にも新基準が正式に施行される予定。ただ、学部等の新設にあたり、収容定員の充足率5割以上を要件とする新たなルールに関しては、経過措置を設け、令和6年3月末の申請分(令和7年度学部等設置)から適用される見通しだ。
目下、国内の18歳人口は減少の一途を辿っており、新たなルールが施行されれば、各大学等の留学生募集方針にも一定の影響を及ぼす可能性がある。
★日本で取得の検査証、帰国便まで72時間以内なら帰国時も有効
日本を出国した人が海外から帰国する際には、滞在国(外国)で出国前72時間以内に取得した新型コロナウイルス検査証明書が必要とされてきたが、8月15日以降は、日本出国前に日本で取得した同証明書についても、同要件を満たせば有効とする運用が行われている。具体的には、「日本で検体を採取してから、日本帰国時の搭乗便の出発予定時刻までが72時間以内」で、指定の検査方法・検体であることが条件。これにより、短期渡航予定のビジネスマンや留学生は、日本へ戻る際に改めて現地で検査を受ける必要がなくなるため、利便性が高まる。ただ渡航先で入国時に隔離・待機等が義務付けられている場合には「72時間以内」の帰国は物理的に難しいため、事前に現地側の検疫措置を確認しておくことが求められる。
また、日本から搭乗予定のフライトが出発当日にキャンセルされるとか大幅な遅延により、当初予定していた「検査証明書の取得後72時間以内」を過ぎてから出国することとなった場合、従来は検査証明書を取得し直す必要が生じていたが、現在は72時間を超えてさらに24時間以内(取得から96時間以内)であれば、再取得は不要とする運用になっている。
但し変更後のフライトが、当初の検体取得から96時間を超過している場合には、防疫措置の観点から、検査証明書の再取得が求められるという。
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加藤勝信厚生労働大臣は15日の会見で、同日、新型コロナウイルス対応について関係閣僚が協議した際に、岸田文雄首相から医療現場の逼迫を解消するための対応を指示されたことを明らかにした。具体的には新型コロナの感染症法上の位置づけを、結核やSARS等と同じ「2類相当」から、季節性インフルエンザ並みの「5類相当」へと変更し、現在行われているコロナ患者の全数把握を見直すことが念頭にあり、首相はこれらに関して、関係者との調整を踏まえ、「結論をしっかり出していく必要がある」と述べたという。
直近の感染状況について加藤大臣は「全国的に大変高いレベルでの感染が継続している」として、お盆休みの影響と合わせ、現在夏季休暇に入っている学校が今後再開されるにあたり、感染状況の推移をしっかりと注視していく考えを示した。
★中国内のJLPT12月試験 今週18日より事前登録受付を開始
12月4日に国内外で行われる日本語能力試験(JLPT)に関して、中国内における出願日程や会場などが正式に発表された。
現時点で予定されている試験会場は、北京市、上海市、広東省など23の省・直轄市・自治区の61か所で、会場はいずれも大学等の教育機関となっている。地域別で設置会場が多いのは江蘇省(9か所)、浙江省(6か所)、遼寧省と広東省(各5か所)などで、首都北京市と上海市には各4か所ずつ設けられた。ただ実施元は、今後の新型コロナウイルス感染症に対する現地の対応次第では、試験が中止される可能性も排除できないとしている。
出願申込は受付開始日がレベル別に分かれていて、N1の出願は8月24日から、N2は8月25日14時から、N3~N5は8月26日から、(各14時より)それぞれ開始される。いずれも締め切りは9月1日14時。応募者は出願に先立ち、個人情報と写真を事前にオンライン登録しておく必要があり、こちらは8月18日より受け付け
今年7月の一か月間に空港検疫で確認された新型コロナウイルス感染症の陽性者数が830名だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。国籍別の内訳は日本国籍者(帰国者)が354名、外国籍者が476名となっている。前月の6月は日本国籍者165名、外国籍者273名の計438名だった。日本国内におけるオミクロン株BA.5系統の感染拡大と並行して、入国時点で陽性が判明する人の数も前月よりほぼ9割(89%)増加している。
政府は6月から追加の水際緩和を行い、一日あたりの入国者上限数引き上げとセットで、入国時の「全員検査」をやめ、コロナ流入リスクが低い「青」区分の国・地域について入国時検査と入国後待機の両方を不要とした。一方でややリスクの高い「黄」区分の国・地域からの入国者も、ワクチン3回接種を条件に、「青」区分と同様の扱いとなっている。
したがって、6月以降の空港検疫における陽性者数は入国者全体ではなく、入国時検査が必要な「赤」区分と、ワクチン接種証明書が提示できない「黄」区分の国・地域からの来日者の状況のみが反映されていることになる。水際緩和直前の5月1か月間における空港検疫の陽性確認者は、日本国籍者1759名、外国籍者1111名の計2870名だった。
現在、留学生の来日者数が多い国・地域では、中国、ネパール、韓国、台湾等が「青」区分にグループ分けされていて、「黄」区分の対象は、ベトナム、スリランカ、インド、ウズベキスタン、パキスタン、エジプト等となっている。
★「検査・陰性証明書の提出に配慮を」 厚労省会議も徹底求める
厚生労働省の専門家会議(アドバイザーリーボード)は3日の会議で、最近の新型コロナ感染状況に対する評価を行い、当面必要な対策について議論した。会議後に出された基本的な考え方では、新規感染者数が高止まりする中で保健医療提供体制の確保が重要として、病床や発熱外来のひっ迫回避に向け、「職場・学校等において療養開始時に検査証明を求めないことの徹底」を求めた。
文部科学省はすでに、大学、専門学校等の教育機関等に対し、同様の方針を文書で通知しており、陽性者や濃厚接触者が療養を開始する際や待機終了後の復帰時に、事業所や学校等が従業員・学生等に対して追加の検査結果及び陰性証明書等の提出を求めないよう、配慮を要請している。
同通知では、やむを得ず証明書を求める必要がある場合でも、教職員や学生らが自ら撮影した検査結果の画像や療養証明書で代替するよう促した。
※BA2・75系統など新たな変異株の動向把握へ 「監視の継続」が必要
一方、新型コロナ変異株については、BA・5系統のほかに6月以降、インドを中心に報告されているBA2・75系統の検出が日本国内でも確認されているが、アドバイザーリーボードが打ち出した対策では、動向把握のため、諸外国の状況や知見の収集分析と、ゲノムサーベイランスによる監視の継続が必要だとしている。
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~中教審・大学院部会、近く中間とりまとめへ~
中央教育審議会(文科大臣の諮問機関)は先月開いた大学院部会で、中間とりまとめ案の策定に向け、人文科学・社会科学系の大学院教育に関する方向性について議論を行った。末松信介文部科学大臣は8月2日の会見で、「不確実性の高い現代において、新たな生き方の視点や価値観を提供する人文科学や社会科学分野の重要性は一層高まっている」一方で、同分野を修了した高度人材の日本におけるキャリア形成については「未だ限定的だ」と述べ、その支援は「大変難しい課題だと認識している」と語った。
末松大臣は大学院部会において提起された内容として、▶大学院修了者の能力や活躍に関し、社会と大学、及び学生自身との間で相互理解が進んでいない、▶幅広いキャリアパスを念頭に置いた大学院教育や組織的な就職支援の枠組みが、十分に整備されていない、等の問題点を紹介。特に博士課程においては、学生のテーマに合致する研究指導の欠如、学位取得に要する時間の長期化(オーバードクター)等の課題が指摘されているという。
文科省では、近く予定される部会の中間とりまとめを踏まえ、人文科学・社会科学系分野を修了した大学院生のキャリアパス拡大に向けて、具体的な方策の検討を進めていきたいとしている。
※来日者の「一番人気」分野 留学生向け就職支援にも直結
人文科学・社会科学系は、来日する外国人留学生の間でも常時、専攻者が最も多い分野で、高等教育機関で学ぶ留学生でみると、社会科学分野が全体の4割近く(約7万6千人)を占め、人文科学分野(約3万2千人)を合わせれば半数を超える(2021年5月現在)。また日本学生支援機構(JASSO)のまとめによると、2020年度に大学院を修了した留学生の内、日本国内における就職者の比率は、人文科学分野が22.5%、社会科学分野が25.9%で、このほかに出身国や第三国で就職した人がそれぞれ人文科学で9.9%、社会科学で22.9%いる。ちなみに同統計は修士、博士両課程の修了者が含まれていて、修士課程修了者の中にはさらに博士課程へ進学した人もいるため、上記はいわゆる「就職率」とは異なる。いずれにせよ、実数が最も多い同分野専攻者のキャリアパス拡大に向けた支援は、留学生の就職支援にも直結する課題と言える。
★医療逼迫の回避へ 証明書の取得に対する配慮を呼びかけ
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が高止まりし、医療機関や保健所の業務が逼迫していることを踏まえ、文部科学省は陽性者や濃厚接触者等が療養を開始する際や待機期間を終えて復帰する際に、従業員・学生等に対して追加の検査結果や陰性証明書等の提出を求めないよう、配慮を要請している。所管する大学、専門学校等教育機関等に対して、すでに文書で通知した。政府の対策本部が先月29日、医療の逼迫を回避するための対策を実施するよう要請していた。
同通知では、やむを得ず証明書を求める必要がある場合でも、教職員や学生らが自分で撮影した検査結果の画像や療養証明書で代替するよう求めている。
★入国したウクライナ避難民1600人 支援大学も50を超える
日本政府がウクライナから受入れた避難民の総数が、7月時点で1600人を超えた。出入国在留管理庁のまとめによると3月2日以降7月31日までの累計は1660人となっていて、この内、すでに出国済みの者を除く1607人の内訳は、在留資格別で「特定活動」が1363人、「短期滞在」が122人、「その他」が122人。入国後の在住地域(都道府県)別でみると、東京都が322人で最も多く、神奈川県(110人)、福岡県(104人)、大阪府(91人)、兵庫県(77人)、千葉県(71人)、愛知県(68人)、埼玉県(50人)なども相当数を受入れている。
避難民の中には日本の教育機関で就学を希望する子女も一定数に上り、大学等の中にはウクライナ籍学生向けの支援策を打ち出すところが増えている。文部科学省のまとめによれば7月30日時点で、該当する支援対象者を募集中の大学が、国立12大学、公立5大学、私立18大学の計35大学ある。これらのほかに、すでに募集を終了または停止した大学が22大学あり、両者を合わせると50を超える大学がウクライナ避難民支援に名乗りを上げた形だ。
また日本語教育機関の中で、学費免除やオンライン授業の無料提供など、何らかのウクライナ避難民向け支援を実施しているところも、7月15日現在、全国で66校に上っている。
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