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3月1日より留学生ら外国人の新規入国が再開されるのを前に、政府は今週中にもオンラインによる入国手続きの申請受付を開始する。21日に文部科学省関係者との会議を行った自民党関係筋が明らかにした。また他の与党関係者によれば、今回の手続きでは昨秋の一時受入れ再開時にも稼働済みのERFS(健康管理システム)を改良した新たなシステムが活用される。同システムでは学校等受入れ機関がまずIDを取得して入国する留学生等の基本情報、滞在予定場所、誓約事項等を入力の上、「受付済証」をオンライン取得して留学予定者に送付する。留学予定者は「受付済証」と有効な在留資格認定証明書(COE)、旅券、及び申請に必要な書類一式を添えて在外公館で査証(ビザ)を申請する、という流れになる予定だ。「受付済証」取得に際しては、昨秋のような事前審査や滞在中の活動計画を申告する必要がなくなり、手続き自体は大幅に簡素化される。
自民党関係筋は、すでにCOEを取得済みの留学生に関しては、在外公館でできるだけ速やかにビザを発給するよう要請したとしているが、現時点では発給に要する目安の日数等は不明だ。具体的な手続き等については週内にも正式発表される見通し。
(注):上記は2月21日夜時点の情報で、今後実際の手続き方法や必要書類は変更になる可能性があります。
★文科相が留学生の入国についてのメッセージ
末松信介文部科学大臣は21日、政府が3月から一日あたりの入国者数上限を引き上げる新たな水際措置の方針を打ち出したことを受けて、外国人留学生の入国についての大臣メッセージを発信した。この中で末松大臣は今回の措置が、留学生の入国を実現する上での第一歩となるとの認識を示す一方で、全ての留学生が入国するには今しばらく時間がかかるが、「新型コロナウイルスの感染状況を落ち着かせ、段階的に国際的な人の往来を再開していくための重要なプロセス」であるとして、関係者に理解と協力を求めた。
そして文部科学省として、入国待機中や新学期を日本で迎えることを希望している留学生らが「可能な限り速やかにかつ継続的に入国」でき、またより多くの留学生に門戸が開かれるよう、大学などと協力して感染対策を講じ、安心して迎え入れる環境の整備に全力で取り組んでいくと結んでいる。
★入国者数上限5千人で 待機者の入国に5か月以上
~日本語教育機関6団体が試算~
在留資格認定を受けながら来日できていない外国人がのべ37万人に上る中、実際の入国に要する期間がどれぐらいかかるのかを、日本語教育機関6団体がこのほど試算した。それによれば1日あたりの入国者総数の上限が5千人の場合、新規入国が可能な外国人数は2278人で、仮にこれが全員、すでに在留資格認定証明書(COE)を交付済みで来日できていない外国人だとしても、全員が入国するのに5か月以上(162日)かかるという。仮に入国者上限が1万人に引き上げられた場合には新規入国外国人は7278人となり、同期間は51日に短縮されるとしている。ただ1万人のケースの試算値は、引き上げられた5千人が全て新規入国外国人に割り振られたケースを想定しており、実際は日本人のビジネス往来も増加が見込まれるため、「かなり楽観的な予測なのでは(本国で遠隔授業を受講中の留学生)」との指摘も出ている。
岸田文雄首相は17日の会見で、外国人に対する水際措置を3月から段階的に緩和する方針を示し、当面1日あたり入国者総数を5千人にすることを明らかにしたが、5千人の中には日本人帰国者や外国人再入国者も含まれることから、与党内や経済団体の間では更なる引き上げを求める声が相次いでいる。
★待機・移動費用への政府支援求める~日本語教育機関6団体
日本語教育機関6団体は、16日付けで木原誠二官房副長官に提出した入国制限緩和に関する要望書の中で、待機留学生に対する入国上の特段の配慮、手続き簡素化といった基本事項のほかに、入国後の待機費用や移動費用等に関する支援も盛り込んだ。具体的には留学予定者らが「長期に亘る先の見えない待機により、経済的にも精神的にも追い込まれています」とした上で、入国が可能となった場合でも、ホテル等での待機費用や公共交通機関を使わずの移動費負担は留学生に更なる負担を強いており、「日本留学の意志を維持することの大きな妨げ」となっていると指摘。入国後に「困窮学生の緊急給付金」の対象とするなど、待機費用に関する政府の支援を求めている。
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今年4月に新設される日本語教育機関が、最終的に全国で12校に上ることがわかった。この他に、既存校で近く名称を変更する教育機関も5校確認されており、計17校が新年度から新たなスタートを切る。いずれも、『留学生新聞』の得た最新の情報を総合したもので、新設校の数が二桁に上るのは、新型コロナウイルス感染症が蔓延する前以来となる。昨今の入国制限の長期化で、日本語教育機関の経営状況は苦境の中にあるが、政府が17日に表明した留学生の入国再開も相まって、業界正常化へ向けた第一歩となることが期待される。
新設校12校の所在地別の内訳は、北海道1校、関東2校、北陸1校、中部3校、関西4校、中国地方1校。都道府県別では大阪府の4校が最も多い。この内、専門学校など介護福祉系の学校や関係する市の団体が日本語学科あるいは学校を新設するケースが少なくとも3件あるほか、すでに運営中の日本語学校によるグループ校や新校舎の増設も2件確認された。また人材系企業及び技能実習生の受入れ企業が運営するとみられる学校の新設も複数出ている。
一方、校名変更が告示された学校は全国で5校に上った。『留学生新聞』が独自に調査したところでは、留学生部門の他校への譲渡や学校グループの再編、あるいは所在地の移転に伴うものなど、名称の変更事由は様々となっている。
★在日外国人の医療アクセスをテーマに国際フォーラム
外務省と国際移住機関(IOM)は、3月2日、令和3年度の「外国人の受入れと社会統合のための国際フォーラム:『在日外国人と医療 安心して暮らせる地域社会の実現に向けて』」をオンラインで開催する。新型コロナウイルス感染症の流行と蔓延に伴い、特に必要性が高まっている医療アクセスについて、「在日外国人と医療」のテーマの下、医療通訳の活用に注目し、国内外の有識者を招いて講演と事例発表の機会を設けるとともに、パネリストたちによる議論を予定しているという。
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公明党の石井啓一幹事長は18日の定例会見で、政府が17日に表明した外国人の新規入国再開に伴う入国者上限数の変更(一日5千人)について、一段の引き上げが必要との考えを明らかにした。間近に迫る新年度を見据え、留学待機者は15万人に上ることから、実際に希望者の入学を可能にするためには、政府が当面の措置としている一日5千人程度の受入れでは足りないことを踏まえた発言。石井幹事長は「段階的に上限数の更なる緩和が必要」と指摘した上で、そのためには入国時の検疫体制を強化すると共に、「受入れ大学側にも宿泊施設の提供を求めるなど、留学希望者が不利益を被ることがないよう配慮を」と要望した。
一方、同党の伊佐真一議員は18日の衆院予算委員会で政府の留学生受入れ方針を質した際に、入国者数の上限を5千人に限定する政府の方針は「キャパシティの原因が検査かというと(そうではなく)、厚生労働省の事務方に確認したところ、検査は一日2万人ぐらいいけるという話もしていた」と明かし、政府が末松信介文科大臣の同日の答弁通り「最後の一人まで」留学希望者の受入れに積極的に取り組むよう促した。
入国上限数の更なる引き上げなど留学生への配慮を求める声は、与野党問わず広がりを見せている。自民党の世耕弘成参院幹事長代理は18日の会見で5千人の上限数を一日も早く撤廃することを主張。日本維新の会の音喜多駿議員は19日、「更なる水際対策の緩和を進め、留学生には特別枠を設けるべき。今の日本を選んで留学してくれる人材は貴重。他国に流れてしまう損失は計り知れない」とツイートした。
※日商、外国人材向け入国措置の大胆な緩和を主張
一方、主要経済3団体の一つである日本商工会議所(日商)は17日、政府・与党への緊急要望をまとめ、「ポストコロナを見据えた国際往来の再開」という項目の中で、入国制限の緩和と手続きの簡素化等を求めた。具体的には留学生、特定技能外国人など「外国人材に係わる入国措置は諸外国の水際対策を参考に、大胆に緩和すべき」として、国家戦略としての水際対策(入国管理)の緩和、入国手続きや施設待機の簡素化と併せた入国者総数の更なる拡大を要望している。
★基本的対処方針に外国人の新規入国容認など追記
政府は18日、まん延防止等重点措置の延長や一部地域の解除に際して、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を改訂する方針を決めた。
水際対策に関しては、「海外及び国内のオミクロン株など変異株の流行状況なども踏まえて検証する必要がある」とする基本部分の表記は引き続き維持する一方で、前段の感染拡大に関する評価部分に、「外国人の新規入国について、受入責任者の管理の下で観光目的以外の入国を認める」 と明記。具体的な措置として、入国者の待機期間の免除・短縮や1日あたり入国者数を上限5千人目処に引き上げるなど、岸田文雄首相が17日の会見で表明した水際対策の緩和内容を盛り込んだ。
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文科相「最後の1人まで入国できるよう取り組む」
末松信介文部科学大臣は18日の会見で、3月から段階的緩和が決まった水際措置について、「留学生にとっては入国を実現する上での第一歩だが、待機している全ての留学生が入国するには今しばらく時間がかかる」との認識を示した。その上で「文科省としては引き続き関係省庁と連携しつつ、全ての留学生の方々が入国できることを目指して全力で取り組んでいく」と述べた。
今回の見直しでは、検疫体制の整備や防疫措置の実施状況を踏まえ、一日当たり5千人という入国者総数の枠が設けられているが、責任者の管理下を前提に、観光目的を除く外国人の新規入国が等しく認められており、「留学生も他の新規入国者と同様にこの枠内」との位置づけで、在留資格「留学」の優先枠などは設けられていないとの認識を示した。
その上で末松大臣は「これまで待機してきた留学生や4月に入学を予定していた留学生が、可能な限り円滑かつ継続的に入国できるよう、今般の措置を国内外の大学等に丁寧に周知し、速やかな対応を促していく。併せて必要な防疫措置をしっかり講じていただくよう大学等の受入れ機関を指導し、安心して留学生を受入れられる環境の整備に取り組んでいきたい」と述べた。
一方で「留学生を受入れるにあたって残された課題は少なくないと認識している」とも語り、文科省としてはそれらを一つずつ解決しながら、入国を希望する留学生が最後の一人まで入国できるよう、着実に取り組んでいきたい」と述べた。
今年初めの時点で約15万人とされている待機留学生の内、今後実際に入国を予定している対象者の数については、受入れ教育機関を通じて再度把握が必要との考えを示した。
なお今回の受入れ再開に関連して文科省関係者は、留学生の入国順について昨年11月の緩和時のような在留資格認定証明書(COE)の発行時期によって入国上の優先順位などを設けることはしないとした上で、「結果として(入国の順番は)フライトを取った順となる」ことも明らかにした。
末松文科大臣は18日午前の衆院予算委員会でも、伊佐真一議員(公明党)の質問に答える形で留学生の受入れについて、会見時と同様の見解を表明した。
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岸田文雄首相は2月17日夜の記者会見で水際対策の段階的緩和に言及し、昨年11月末以降、原則停止していた留学生ら外国人の新規入国を3月1日から条件付きで再開する方針を正式に表明した。対象として「観光目的以外の新規入国者」に限り容認し、一日あたりの入国者数は現行3500人から従来の5千人に戻す。今後は日本人の帰国需要などを踏まえつつ、段階的に国際的な人の往来を増やしていく方向性も示した。
再開に際し、焦点となっていた入国前の受入れ機関・団体等による申請手続きに関しては、昨秋の再開時と同じく受入れ責任者による行動管理を条件としつつ、「一元的にオンラインで完結できるよう簡素化する」考えを述べた。
また入国後の自宅や指定施設等における待機の扱いについては、感染が落ち着いている非指定国・地域から3回のワクチン接種を受けた上で入国の場合は免除するほか、入国前・入国時及び入国3日目の3回の検査による陰性を条件に、待機期間を7日間から3日間に短縮するとした。リスクの高い対象者については、引き続き施設待機とする。
首相は入国者上限数(5千人)の枠について、「一遍に緩めるのは現実的ではない。まずは第一段階だ。内外の感染状況や各国の水際対策、検疫体制の拡大などを睨みつつ、(今後)どうあるべきか検討を進めていきたい」とした。さらに上限数の撤廃の見通しについて問われると「(5千人は)段階的に緩和していく上でのステップ」であり、今後「感染拡大と社会経済活動維持のバランスの中で総合的に判断し、どこまで緩和できるか考えていきたい」と更なる見直しに含みを残した。
一方で岸田首相は新たな新型コロナウイルス変異種の流行など、再度「感染状況に悪化の兆しがあった場合には、即座に対応を見直していく」と慎重な水際対応を今後も継続する方針も示した。
※留学生の申請手続きも簡素化
留学生の具体的な3月以降の新規入国手続きについては18日朝時点で発表されていないが、首相が示した方針に沿う形で簡素化される。政府は近く、オンラインで申請手続きが可能な「入国者フォローアップシステム(ERFS)」を再度開設。17日までに特定技能外国人の所属機関に対し政府が示した3月以降の受入れスキームによれば、受入れ責任者はERFS上でIDを取得後に、入国予定の外国人に関する情報を登録し、同システム上から「受付済証」を取得する。「受付済証」は受入れ責任者から入国予定者に対して交付し、入国予定者が在外公館での査証(ビザ)申請に際して持参する仕組みだ。入国時には「受付済証」を検疫所で提示する流れとなる見通し。留学生や教育機関についても、同様の枠組みが適用される可能性が高そうだ。
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