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外国人の新規入国停止 2月末まで延長を表明
岸田文雄首相は11日午前の会見で、全世界から外国人の新規入国を停止する措置を2月末まで延長する考えを示す一方で、入国者に関して「人道上、国益上の観点から必要な対応」を行うことにも言及した。
感染が拡大しているオミクロン株については、「わからないこともまだ多い」としつつ、「重症化率が低い可能性も踏まえ、過度に恐れることなく冷静な対応」を国民に呼びかけた。
これを受けて松野博一官房長官は同日午前の定例会見で、全世界を対象に外国人の新規入国を停止し入国者総数について1日3500人程度を目途とする現行措置を、当面継続する方針を確認した。その一方で外国人留学生の新規入国については、「卒業や進級が迫る学生もいる状況等を踏まえ、対応を検討しているところだ」と述べ、特段の事情による受入れに含みを残した。また在留資格所持者の再入国に関しては、これまで「待機10日間」対象国として拒否してきた南アフリカなどの11か国について、人道的な配慮から今後は認める方針も示した。
★「特段の事情」で入国認める留学生の線引きが焦点に
一方、本日開催される自民党の外交部会では、水際対策が議題となる模様だ。同党内には、大学等の高等教育機関レベルで留学生が韓国等他国へ流出するのを防止することが、日本の国益になるとの観点から、従来の入国禁止の枠組みは維持しつつ、「特段の事情」の枠内で、高等教育留学生等の対応の可否が検討されるとみられる。佐藤正久・自民党外交部長は「留学生の線引きをどこでするかを含めて議論する」と述べており、本日中に発表される政府の受入れ方針に反映される可能性がある。
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岸田首相、水際対策の「骨格は維持」
岸田文雄首相は1月4日に行われた2022年の年頭会見で、日本政府が現在実施している水際強化措置について、「オミクロン株対策の重点を国内対策へと移す準備を進めたい」と述べ、同株の国内流入を踏まえ現行の対策を見直す可能性を示唆しつつも、「新型コロナウイルス感染症の市中感染拡大に備えるため、(水際対策の)骨格は維持」する方針を示した。昨年末以降、「当面の間」延長するとしてきた外国人の新規入国禁止措置の先行きは、依然として不透明なままだ。
留学生など外国籍者の新規入国は、昨年11月29日の首相判断により再停止しており、影響は日本語教育機関等の来年4月期生はもとより、すでに在留資格認定証明書を取得済みで入国待ち中の留学予定者等を中心に幅広く及んでいる。
「厳格な水際対応」いつまで?迫る見直しのタイミング
岸田首相は12月17日の会見では政府のオミクロン株対応について「G7で最も厳しい水際対策を即座に講じ、慎重な上にも慎重な対応に努めてきた」とした上で、一連の厳格な水際措置は「オミクロン株に関する情報が少しでも明らかになるまでの時間を稼ぎ、必要な準備をしていくための臨時異例の措置」と位置づけていた。一方で、「時間稼ぎ」の最終期限は刻々と迫りつつある。ロイター通信は世界保健機関(WHO)幹部が、オミクロン株感染による症状は他の変異株に比べて軽度であることを示す一段の証拠が出てきていると語ったことを伝えた。また英国のスループ保健相もオミクロン株は「ほぼ間違いなく重症度がかなり低いという事実」に言及した上で、英政府として現時点で新たな制限措置を導入する必要はないとの見解を示したという。
外国人の新規入国者を一律で締め出す岸田政権の方針に対しては、日本駐在の外国政府関係者からも苦言が出ている。在京都フランス総領事のジュール・イルマン氏は4日の会合で、日本の水際対策に触れ「観光客が入国できないのは理解しやすいが、日本で生活したい方、仕事したい方、勉強したい方が日本に入れないのは、外国人にとっては理解しにくい」と指摘した。
岸田首相は「臨時異例の措置」としてきた外国人の新規入国停止を、延長・終了させるための判断基準やベースとする情報が何なのかを当初から明確にしていない。結果として、留学生や特定技能外国人等、それぞれのかけがえのない人生をかけて、来日を待ち続けてきた入国予定者らを、宙ぶらりんな状態のまま放置し続けているに等しい。この事実が、外国人目線でどのように受け止められているかは想像に難くない。現状のままでは、国としての中長期的な人材獲得にも致命傷となるばかりか、日本政府が掲げてきた外国人との「共生社会」実現も、絵に描いた餅となりかねない。
「G7で最も厳しい」と自画自賛する「鎖国」政策に安住し続けるのではなく、変異株の症状と感染状況、G7等他国の水際対応等を科学的に分析した上で、国際的な往来再開に向けた日本としての道筋を示すことが、今求められている。
留学生らが来日前に事前取得する在留資格認定証明書(COE)に関して、出入国在留管理庁は28日、すでに作成済み分の有効期間を再延長する措置を決めた。日本政府の新規入国外国人に対する入国制限が、年明け以降も当面延長されたことに伴う措置。
これまでは作成日が昨年1月から今年7月31日までのCOEは2022年1月31日まで有効としていたが、これを今年10月31日作成分までは等しく来年4月30日まで有効とみなす。また有効期間を「作成日より6か月間有効」とする対象時期も見直し、今年11月1日から来年4月30日までの作成分とする。
【繰り返されるその場凌ぎ 留学予定者の行動縛ると批判も】
日本政府の水際対策をめぐっては、留学生ら外国人入国予定者の入国時期の遅れが長期化しており、入管庁はこれまでも留学予定者らに交付済みのCOEの有効期間を延長する措置を度々繰り返してきた。一方で入国の見通しが立たない中で入管庁がCOEを発行・延長し続けても、次のステップである在外公館での査証(ビザ)申請の目処が立たず、海外の留学予定者らが長期間行動を縛られる状況が続くことへの批判は根強い。今回の再延長措置も、その場凌ぎの対応にすぎず、留学生や就労者などの国際人流が滞っていることへの根本的な解決策にはなり得ない。オミクロン株を理由にした「緊急避難的な措置」を、解除の基準や条件も示さず、ズルズルと無期限化することは許されない。独自の指標や科学的知見に基づき、水際緩和に踏み切る国が相次ぐ中、日本政府の真摯な対応が求められる。
2021年に入ってから「留学」の在留資格で日本へ新規で入国した外国人が、10月までの累計で9930人とようやく1万人規模に達したことがわかった。新型コロナウイルス感染症拡大を受けて日本政府は1月下旬から留学生ら外国人に対して入国制限を実施。新たに成立した岸田文雄政権は11月に一旦入国を再開するも、オミクロン株を理由に再び受入れ停止に踏み切った。
今年入国できた留学生のうちほぼ半数(4957人)は1月の入国者で、その後の9か月間は「特段の事情」により認められた5千人弱にとどまる。コロナ禍前までは毎年約12万人が、また昨年はコロナ禍の中、約5万人の留学生が入国しており、今年の水準は2019年以前の1割にも満たない。
学生数の減少に見舞われている教育機関への影響は甚大で、中長期的にも日本語教育を担う人材や受入れインフラが打撃を被ることは不可避。岸田政権はオミクロン株の封じ込めを唱え、外国人の新規入国は一律で締め出す一方で、日本人を含めた再入国者に対する水際対策は実効性ある隔離措置を伴わず、オミクロン株の相次ぐ流入を招くなど事実上機能しておらず、見直しが避けられない状況だ。
なお10月単月の「留学」新規入国者は1522人で、2月以降では最も多かった。出身国(地域)別では、中国158人、マレーシア129人、ベトナム 122人、インドネシア111人、タイ81人、韓国79人などが多い。9月までと比較すると、10人以上の入国留学生のがいたエリアが世界各地に幅広く分布し、フィリピン(64人)、バングラデシュ(76人)、アフガニスタン(62人)のほか、ガーナやエジプト、ケニアなどのアフリカ諸国も見られる。
一方、10月中の再入国留学生は2179人で、引き続き中国(1430人)と韓国(339人)が多数を占めている。
~「日本語」科目の平均点がここ数年で最高の250点に ~
11月に実施された日本留学試験(EJU)の全体状況が判明した。日本学生支援機構(JASSO)のまとめによれば、最終的な受験者は追試験も含めて日本国内が9547人、国外が4444人の、合計1万3991人となった。応募者数(国内外で2万1466人)に対する受験率は65%。
受験地別では国内が東京(5827人)、大阪(1114人)などが、また国外はソウル(2158人)、香港(639人)、釜山(512人)の順に多い。
11月EJUの結果は各大学等の2022年度及び23年度留学生入試における学力判定の指標となる。注目の平均点は、受験者数が最も多い「日本語(聴解・聴読解+読解)」が250点(満点比62・5%)となり、ここ数年の中で最も高くなっている。「日本語(記述)」は33・8点(同67・6%)だった。
「日本語」科目の得点分布を見ると、最も多かったのは210-219点(790人)と、230-239点(750人)の層だが、300点以上の得点者が全体の25%(3512人)に上ったことで全体的な平均点が押し上げられたとみられる。
また日本語以外の科目の平均点は、主に文科系学生の受験科目である「総合科目」が124・4点(同62・2%)、「数学<コース1>」が98・4点(同49・2%)で、理科系学生の受験科目では「数学<コース2>」が110点(同55%)、「理科」は平均点が高い順に生物68・4点(同68・4%)、物理56・6点(同56・6%)、化学54点(同54%)だった。
なお日本国内の受験者について出身国・地域別でみると、最多の中国が7629人で全体の8割を占めた。中国の他はベトナム(738人)を始め、韓国、インドネシア、香港、台湾がそれぞれ受験者数100人を超えている。
★米国・ロシアの全土を変異株指定国に追加
政府はここ数日で水際対策を再度見直し、「特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」に米国とロシアの全土やポーランド、ジョージアなどを追加した。この内米国については、ニューヨーク州、ハワイ州、イリノイ州、マサチューセッツ州からの入国者及び帰国者に検疫所長の指定する宿泊施設で6日間待機を求め、他の州については3日間待機とした。新たな措置はいずれも25 日から26日にかけて断続的に適用される。
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