インフォメーション
法務省は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い実施してきた帰国困難者向けの特例措置を、6月30日以降見直すことを決めた。これまではコロナ感染拡大による影響で、本国への帰国が困難と認められる外国籍者に対し、日本国内での在留が可能となるよう「特定活動(6か月)」や「短期滞在(90日)」の在留資格を許可してきた。しかしながら昨今、新型コロナの国内外における感染状況が落ち着きを見せ、水際緩和を受けて外国人の出入国者数も着実に増加している状況を踏まえ、同措置に区切りをつける。
具体的には、帰国困難を理由とした在留許可の取得者で、現有の在留期間が今月30日以降に満了を迎える人については、更なる期間更新を認めず、帰国準備に必要な在留期間(「特定活動」は4か月、「短期滞在」は90日)を許可した上で帰国を促すという。また今月29日までに在留期限が来る人には、今回限りとして4か月または90日の期間更新を認めた上で、次回の満了時に帰国準備を前提とした上記の在留期間へ移行してもらう形をとる。
※元留学生や現役留学生の扱いは?
例えば元留学生で、卒業後もコロナ禍により帰国が難しいため「特定活動」の在留資格(6か月)を付与され引き続き在留していた人も、今月30日以降の期間満了時には帰国準備の「特定活動(4か月)」に変更する必要がある。帰国準備中も、最大週28時間の範囲内で就労できる。
一方で現役の留学生が、コロナ禍により帰国困難な場合の扱いは、今年11月1日までに「留学」の在留期限が満了する場合に限り、今回限りとして在留資格「特定活動(4か月)」への変更が可能となる。この間に就労を希望する場合は、資格外活動許可を受けなくとも、1週間28時間以内でアルバイトが可能だ。ただ、今回限りの措置であるため、次回の在留期間の満了時には「特定活動」の更新はできず、必ず帰国しなければならない。
古川禎久法務大臣は5月31日の定例会見で「(帰国の)対象となる外国人の方には、このような措置をとることをあらかじめ丁寧に説明した上で、一定の時間的猶予の中で帰国準備を進めていただくように促していく」と述べ、法務省として個々の外国人が置かれた状況に配慮しつつ、円滑な帰国が進むよう尽力していく考えを明らかにした。
★本日より追加の水際緩和 検査・待機免除の国も
本日(6月1日)より追加の水際緩和が行われ、海外からの入国者に対する日本入国時の検疫措置が変更された。新型コロナウイルスの流入リスクをもとに各国・地域を3グループに分け、入国者の「入国前の滞在地」と「3回目のワクチン接種の有無」によって、入国時検査や入国後の待機の要否が変わる。
大きく分けると「施設待機」、「自宅等で待機」、「待機なし」の3パターンが想定されるが、留学生の多い主要国・地域では中国、韓国、台湾、インドネシア、ミャンマー等が「入国時検査なし、入国後待機なし」に、またベトナム、ネパール、スリランカ、ウズベキスタン、インド等は原則「入国時検査あり、入国後待機7日間」となる。但し後者の内、ワクチン3回接種者は「入国時検査なし、入国後待機なし」扱いとされるほか、待機の場合でも自主検査により待機期間を短縮できる。
自身がどれに該当するか不明な入国予定者は、下記の厚生労働省サイトでも滞在国ごとに検索できる。
★首相、他の地方空港も国際線受入れ再開を調整
岸田文雄首相は本日より追加の水際緩和が実施されるのを前にした5月31日の会見で、今後のインバウンド戦略に言及し、新千歳(北海道)、那覇(沖縄県)の両空港に加え、「今後も、例えば仙台など他の地方空港についても、地元自治体と調整した上で、順次、国際線受入れ再開を進めていく」考えを明らかにした。最近進行中の円安によるメリットが期待できるインバウンド再開は、地域経済にとっても大きな意味があるとの認識を示した形だ。新千歳と那覇に関しては、先に6月中の再開方針を決定済みだ。
また首相は今月10日から外国人観光客の受入れを条件付きで再開するのに先立って、実証事業の結果を踏まえた、受入れ対応に関するガイドラインを7日に公表すると述べた。
★昨年のビザ発給数 前年比で92%減
外務省は令和3年の在外公館におけるビザ発給統計を公表した。全在外公館のビザ発給数は9万306件で、対前年比で約92%の大幅減となった。この数をコロナ禍前の令和元年(827万7340件)に比べると、わずか1%の水準だ。国内外で新型コロナウイルス感染症が拡大したことを受けて、日本政府がほぼ通年に渡る入国制限を続け、ビザの発給自体が大幅に制限されたことが背景にある。
国籍・地域別発給数の上位3か国はベトナム(1万5434件)、中国(1万2768件)、米国(9200件)で、これら3か国の国籍者に対する発給数が全体の約4割を占めた。また在外公館別の発給数の上位3公館は、ハノイの在ベトナム大使館(1万3760件)、マニラの在フィリピン大使館(4757件)、ソウルの在韓国大使館(3690件)で、上位10公館のうち8公館がアジア地域にある在外公館。中国の公館では、在上海総領事館が最も多く3584件で,次いで北京の在中国大使館(2922件)、在瀋陽総領事館(1760件)の順だった。
なお外務省によると、ビザ発給数は、数次ビザやビザ免除等もあり、出入国在留管理庁から別途公表される外国人入国者数とは実数が異なる。
*************************************************************************
末松信介文部科学大臣は、ウクライナ人留学生に日本語や日本文化を学ぶ機会を提供するため、国費外国人留学生制度(日本語・日本文化研修留学生プログラム)による特例支援を実施すると発表した。具体的には本年2月24日以降、日本に受け入れたか、これから受入れ予定のウクライナ人留学生の内、日本国内大学からの推薦分として70人、在ウクライナ日本大使館からの推薦分30人の、合わせて100人を支援対象として公募する。選定された対象者には月額最大12万円の奨学金を一年間支給する。
推薦に際してはウクライナ情勢を踏まえた特例措置として、学歴、日本語能力、提出書類に関する申請要件を緩和する一方、日本語能力については受入れ大学に補修授業によるサポート等を求める。公募は大学からの推薦を早ければ7月より、大使館推薦は10月より、それぞれ開始する予定。文部科学省は困難な状況にあるウクライナ人留学生の、日本の大学における学びを支援し、ウクライナ復興や世界の発展に貢献する人材の育成に力を入れていくとしている。
★マレーシアと特定技能の適正運用に関する協力覚書を交換
日本とマレーシアの両国政府は27日、「特定技能」制度の適正な運用のための情報連携や協議等に関する基本的枠組みで合意し、協力覚書(MOC)を交換した。岸田文雄首相と来日中のイスマイル サブリ・マレーシア首相が交換に立ち会った。
MOC全文によると、制度運用に関する協議の場として合同員会を設立し、特定技能対象者の送り出しや受入れに関する審査を行うほか、不適正な支援機関や送り出し(仲介)機関に関する情報と問題点の共有、技能・日本語試験の実施などで双方が協力する。同制度の運用に関する前提として、日本側は受入れ分野ごとに不足する人材が確保されたと認められる場合には受入れを一時的に停止することができることが規定されているが、こうした場合の在留資格上の処遇や帰国準備についても、双方が適切に対処することが謳われている。MOCの有効期間は5年間となる。
今年3月末時点で、「特定技能1号」の在留資格を取得し、日本に在留中のマレーシア国籍者はわずか13人に止まっている。
★親族・知人訪問による入国は6月以降も原則不可
6月1日からの水際緩和に伴い、長期滞在者や商用・就労目的の短期滞在者に加え、新たにコロナウイルス流入リスクが低い国・地域からの短期観光目的による入国が一部認められるようになる。ただ、親族や知人訪問等を目的とする短期間の入国は今回も許可の対象とはなっていない。理由として関係省庁は「受入れ責任者がいないため」としているが、これは現状、外国人の来日に際しては必ずERFS(入国者健康確認システム)による事前申請を通じた受入れ責任者の管理が必要とされていることが背景にある。観光に関してもパッケージツアー限定で、旅行代理店等が受入れ責任者となることが求められる。
省庁関係者によれば、例外的に親族訪問等で「特段の事情」があるものとして新規入国が認められることがあるのは、日本人・永住者の二親等以内の親族か、定住者の一親等以内の親族。このほか病気や出産、死亡に伴い、本邦居住者を支援・訪問する必要がある場合も対象になり得るという。
**********************************************************************
政府は6月1日から水際措置の見直しを行うにあたり、新型コロナウイルスの流入リスクをもとに各国・地域を3つのグループに分け、対象ごとに入国時の検査と入稿後待機の扱いを変えるが、その正式な区分けが明らかになった。来日留学生が多い主要国・地域の中では、中国や韓国などが最も流入リスクの低い「青」区分とされたが、ベトナム、ネパール等はややリスクの高い「黄」グル―プに指定されている
具体的には、中国(香港含む)、韓国の他に、インドネシア、台湾、ミャンマー、バングラデシュ、モンゴル、タイ、マレーシア、フィリピン、米国、カンボジア、シンガポール等、98か国・地域が「青」区分となった。欧州主要国の英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインや、北・南米のカナダ、ブラジル、メキシコ等も同様。5月末まで検疫所指定施設での3日間待機を求められているラオス、ロシア、ブルガリア、南アフリカの4か国も、6月以降は「青」区分に属する。「青」グループ指定国からの入国者は6月1日0時以降、入国時検査が免除されるほか、入国後の自宅等待機も不要となる。
一方、ややリスクの高い「黄」区分に指定されたのは、インド、ウズベキスタン、エジプト、サウジアラビア、スリランカ、トルコ、ネパール、ベトナム、マカオ等、99の国・地域で、入国時検査を実施後、原則7日間の自宅等待機が必要となる。ただこの区分でも、入国時点でワクチン3回接種者は検査・待機共に免除となる。
またハイリスクとされる「赤」区分の国・地域から来日する場合には、入国時検査を実施の上、検疫所指定施設で3日間待機が必要だが、該当国はパキスタン、アルバニア、シエラレオネ、フィジーの4か国・地域のみだった。
6月以降に来日する留学生の内、相当割合が検疫上は「検査・待機ともに不要」へと変わり、入国に伴う制限は大幅に緩和されそうだ、
★外国人観光客の入国制限も見直し 「青」区分の団体旅行を解禁
これと並行して政府は6月10日より、観光目的で短期間滞在する外国人の新規入国を条件付きで認めることも発表した。当面は旅行代理店等を受入れ責任者とする添乗員付きのパッケージツアーに限定し、対象も上記の区分で「青」グループに該当する国・地域のみとする。日本国内に所在する旅行代理店等の受入責任者が、入国者フォローアップシステム(ERFS)で所定の申請を完了した場合に、「特段の事情」があるものとして入国を容認する形を採る。
★国際線の受入れ空港に新千歳と那覇も追加
政府は海外から来日・帰国する人が入国できる空港をこれまで国内5空港(羽田、成田、中部、関西、福岡)に限定してきたが、北海道の新千歳空港と沖縄県の那覇空港についても6月中に国際線の受入れを再開する方針を決めた。これまでは、例えば北海道の学校に留学予定の人は、いったん首都圏等の空港から入国した後、国内線等で移動しなければならなかったが、来月以降は直行が可能となり、利便性が増す。
★日本語能力試験、大連の3大学も中止に
中国遼寧省教育庁が省内の教育機関における感染対策を強化したことに伴い、大連市にある大連外国語大学、大連理工大学、大連大学の3校が、7月3日に実施を予定していた日本語能力試験(JLPT)を中止することを決めた。JLPTをめぐっては今月25日に同省内の遼寧大学(瀋陽市)が、市当局の感染対応等を踏まえ中止を決定したばかり。これにより、中国全土で試験が取りやめとなった会場は計7会場に増えた。
大連市は中国内でも、日本語学習者が特に集積するエリアとして知られ、JLPTでは昨年7月試験の受験者が7209人(うちN1受験者が2904人)と同国内の実施都市の中では2番目に多かった。今回の中止により、厳格な感染対策が及ぼす影響がさらに広がることへの懸念が高まっている。
****************************************************************
6月1日以降、水際対策が緩和されるにあたり、入国時の検疫対応は各国・地域ごとの感染リスクに応じて3グループに区分される形となるが、そのグループ分けに一定程度影響するとみられるのが、現下の空港検疫における検査実績だ。厚生労働省が23日時点で明らかにした最新の状況によれば、直近で判明した今月1日から7日の週は、外国籍者の総検体数3万6592件中、陽性検体は232件、陽性率0.6%となっている。来日者の国・地域別では、陽性検体数が多い順にベトナム、米国、韓国だが、この内、陽性率では米国が1.6%と高く、ベトナム0.9%、韓国0.4%。一方で総検体数がベトナムに次いで多い中国は、陽性検体数1件に止まっている。
なお現在、日本政府が入国時に検疫所で3日間待機を求めているのは6か国だが、この内、同週内の陽性率が1%を超えているのはパキスタンのみで同国の陽性検体数は4件。片や前出の陽性件数が多い3か国に関しては、すでに3日間待機国からは外れていて、6月以降のグループ分けがどうなるかは依然不透明な状況と言える。
★「留学生円滑入国スキーム」 今月末で終了へ
ビジネス客らが比較的少ない平日便を中心に、空席を活用して留学生の入国を円滑に進める趣旨で3月に設けられた「留学生円滑入国スキーム」は、予定の5月末をもって正式に終了することが分かった。文部科学省では、6月1日以降、日本に到着予定の留学生は、一般的な予約方法によりフライトを予約してほしいとしている。
出入国在留管理庁のまとめによると、外国人の新規入国が条件付きで再開された3月1日以降、4月末までの2か月間で、のべ6万1699人の留学生が新たに日本へ入国しており、3月時点で在留資格認定証明書(COE)を取得済みで引き続き入国を希望していた「待機留学生」約11万7千人の半数を超えた。
★山西大学が7月JLPTを中止 中国で3か所目
7月3日に国内外で実施される日本語能力試験(JLPT)で、予定されていた中国における試験会場の内、新たに山西大学がコロナ拡大等を理由に実施を中止すると発表した。同国内では、吉林大学、延辺大学に続き、JLPT取りやめは3件目となる。中国内では感染拡大への対応措置として、各地で外出制限等が断続的に行われており、今月予定されている大学入試(高考)でも、上海市や天津市といった中央直轄市で延期が決まるなど、影響が広がっている。
★「特定技能」外国人が3か月で1万5千人増
今年3月末時点で「特定技能1号」の在留資格により日本国内に在留する外国人が6万4730人となり、昨年末(4万9666人)からの3か月間で1万5千人以上も増えたことが、出入国在留管理庁のまとめで分かった。この数を1年前の昨年3月末時点(2万2567人)と比較すると約4万2千人増で、ほぼ2.8倍の水準。政府の厳格な水際対策により海外からの新規入国が原則停止されてきた中、日本国内における「技能実習」や「留学」等、他の在留資格から「特定技能」に在留資格を変更する人が増えたことが背景にあるとみられる。
産業分野別では「飲食料品製造業」が全体の35%と引き続き多く、農業、介護、建設、産業機械製造業の順となっている。また特定技能外国人の出身国・地域別ではベトナムが4万696人と全体の62%で、フィリピン(6251人)、インドネシア(5855人)なども合わせたアセアン諸国が9割を占める。なお、中国出身者は前年3月末比2.2倍の4546人となっている。
*****************************************************************
~政府、6月1日よりさらなる水際緩和~
政府は6月1日より海外向けの水際措置をさらに見直し、一日あたり入国者総数の上限を現在の1日当たり1万人から、2万人を目途とする規模に引き上げると共に、入国時検査と入国後待機の要件も緩和する方針を発表した。岸田文雄首相が先にG7諸国並みの円滑な入国を可能にする意向を表明したことを受けたもので、松野博一官房長官は20日の会見で「入国時検査の対象者を流入リスクに応じて限定することで、空港施設内での入国待ち者数を減らすことができる」と述べた。
★滞在国・地域により検疫対応を3グループに区分
具体的には入国者を来日前の滞在国・地域によって赤、黄、緑の3グループに区分し、検疫対応を分ける。
まず最もウイルス流入のリスクが高いと位置づける「赤」グループの国・地域は、入国時検査を実施した上で、検疫所指定施設での3日間待機を求める。但しこの内ワクチン3回接種者については入国時検査で陰性の場合「自宅等待機」とする。
また「黄」グループに該当する国・地域は、同様に入国時検査を実施の上で「自宅等待機」へ移行するが、ワクチン3回接種者は入国時検査も自宅待機も求めない。入国後の「自宅等待機」期間は、自主検査を受けない場合、7日間を基本とする現行方針を維持する。
最後に最もリスクが低い「青」グループの国・地域の場合は、入国時検査を実施せず、自宅等待機も不要とする。
実際に各国・地域がどの区分に該当するのかは後日改めて発表されるが、空港検疫における各国・地域ごとの来日者の検査陽性率等が指標になるとみられている。
★「観光入国」再開に向けた検疫体制確保に着手
政府はこれらの見直し措置により、長らく停止したままの「観光入国」者受入れ再開に向けた検疫体制の確保に乗り出した形だ。近く先行して実施される訪日観光実証事業では、旅行会社や宿泊事業者の留意事項をまとめたガイドラインを作成するとしており、インバウンドの本格的な回復に向けた足掛かりとなるか、今後の成否に注目が集まる。
★官房副長官、水際緩和は段階的に進める意向
一方で、木原誠二官房副長官は22日、テレビの報道番組で「現実問題、水際でも(感染者が)まだ発見されているという状況がある。感染状況を見極めながら、段階的に緩和をさせてほしい」と述べ、入国者総数上限を一日あたり2万人に拡大した後も、政府としては徐々に水際緩和を進めていく方針を示した。また「ストップ・アンド・ゴー、ゴー・アンド・ストップがあまり繰り返されるのはよくないと思う」とも語り、感染状況の局面ごとに水着緩和と再強化で政策にぶれが生じることは、経済にもマイナスの影響を及ぼすとする認識も明らかにした。番組内で橋下徹元大阪府知事がコロナ禍前までは一日約14万人の来日観光客がおり、「上限2万人はあまりにも少なすぎる」と指摘したのに応えたもの。
******************************************************