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再入国禁止はアフリカ11か国に
政府は新型コロナウイルス・オミクロン株の感染が確認された地域として12月7日以降の5日間で、新たに4か国と2地域を加えた。追加されたのはクロアチア、アイスランド、コンゴ民主共和国、チリと、米国ルイジアナ州及びインドのラジャスタン州。この内コンゴ民主共和国については在留資格をもつ再入国者の入国も拒否する。これによって再入国禁止対象国はアフリカ11か国に広がった。デンマークは待機期間が3日間から6日間に延びた。
一方でサウジアラビアについては11日付で、オミクロン株指定国から除外した。近隣アジア地域で、検疫所指定宿泊施設における待機を求める対象は、引き続き韓国(6日間)と香港(3日間)となっている。
一方、政府の水際対策は「オミクロン」シフトを鮮明にしつつあり、オミクロン株以外の変異株については入国管理の簡素化が際立つ。これまでは検疫所指定宿泊施設で待機対象となる再入国者や帰国者の内、ワクチン接種証明書の保持者に関しては待機を免除し、14日間の自宅待機に直接移行させていたが、10日からは「3日間待機」と「6日間待機」の対象国・地域に関しては接種証明書を所持していなくとも自宅待機への切り替えを認めた。待機施設の収容能力が逼迫してきたことも背景にあるとみられる。オミクロン株対象国・地域からの入国者には従来通り待機を求める。
政府は留学生等、新規入国の外国人に対しては、「オミクロン株の詳細が明らかになるまでの緊急避難措置」として、当面年末まで全ての入国を停止している。
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~文科省が「日本留学の扉を開く会」の要望書に回答~
「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」が留学生の受入れ再開などを求めた要望書に対して、文部科学省はこのほど正式な回答を寄せた。今回の政府による入国停止決定を緊急避難的な措置であるとした上で、留学生らの入国の可能性について引き続き検討を行うことや、受入れ再開後の円滑な入国手続きへの取組を進めていく方針を示している。関係筋からの情報によると、今回の要望内容は現在開会中の国会審議に議員案件として提出されており、今後、受入れ再開に向けた議論が進むことが期待される。
新型コロナ・オミクロン株の拡大に伴って留学生らの新規入国が12月末まで停止されたことを踏まえ、「扉を開く会」では今月6日付で、①早急な受け入れロードマップの提示、②留学生の入国の早期再開と、円滑な受け入れのための審査簡素化、③「段階的受け入れ」方針の撤廃、④留学生の恒常的受け入れ(外国人差別、私費/国費の区別撤廃)、を骨子とする要望書を文部科学大臣と文化庁国語課長宛てに提出していた。
これに対し文科省が各要望事項について回答した内容では、まず今後の方向性に関して、入国禁止決定はあくまでも「オミクロン株の詳細が明らかになるまでの緊急避難的な措置」であるとして、同株の分析状況や関係者の要望等を踏まえつつ、水際対策強化に伴う課題について引き続き関係省庁と検討を進めていく方針を表明。入国希望者の入国の可能性を追求していく意向をにじませた。
また入国に伴う申請手続きについては、「内閣官房及び水際制度の担当省庁」において政府共通で定められており、審査の簡素化なども共通する制度枠組みの中で行われる必要性を指摘しつつ、文科省としては再開後の円滑な入国手続きのために、関係省庁と連携して取り組んでいくとしている。
さらに在留資格認定証明書(COE)の発行時期に基づく「段階的な入国」方針に関しては、「今後の1日当たりの入国者総数の扱い」や「オミクロン株の分析状況等を含めた、新型コロナウイルスの流行状況等」を踏まえながら、関係省庁と共に検討を進めていくとしており、今後の方針見直しに含みを残しているとも言えそうだ。
一方、先にWHO(世界保健機関)の関係者が、入国の可否を自国民かどうかで判断する日本政府の水際対策に疑問を呈したことについて、文科省は「WHOからの指摘については承知している」としながらも、日本としては今回の決定が緊急避難的な措置であることについて、各国に理解を求めており、未知のリスクに対する対応であることに重ねて言及した。
回答では最後に、留学生の恒常的な受入れに関連して、私費・国費の区別撤廃を求めた要望については、すでに「特段の事情」による新規入国が、真に必要なものに対象を限定した上で厳格運用されていると説明。今夏以降、「公益性」の観点から例外的に認めてきた国費留学生の新規受入れも、11月30日以降停止されていることを明らかにした。
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「日本留学の扉を開く会」が文科省などに再度要望
インターネットやSNS上で海外の学生たちの声を発信し続けている「日本留学の扉を開く会」は、留学生受入れ再開に向けた要望書を、再び日本政府に提出した。すでに11月15日時点で文部科学省に対して留学予定者に対する「審査済証」の前倒し交付などを要望しているが、その後、岸田文雄政権が外国人の新規入国を12月末まで停止したことを受けて、再度、今月6日に文部科学大臣と文化庁国語課長宛てにメールで要望事項を発出したという。
要望の骨子は、①早急な受け入れロードマップの提示、②留学生の入国の早期再開と、円滑な受け入れのための審査簡素化、③「段階的受け入れ」方針の撤廃、④留学生の恒常的受け入れ(外国人差別、私費/国費の区別撤廃)の4点から成る。
この内①については、入国停止期間は当面1か月とされたが、再開の目途やビジョンが何ら示されていないことから、来日待ちの留学生等の間では今年初めの禁止時と同様に長期化するのではないかとの懸念がある。また③は在留資格認定証明書(COE)の交付順に入国を認めるとした11月初旬の政府方針に関して、すでに日本語教育機関6団体の調査により多くのCOE所持者の留学キャンセルが確認されたほか、今回の入国再禁止により、入国延期となった留学生たちの損害は甚大だとして、段階的入国措置を速やかに撤廃するよう求めている。
「新規入国者」と「日本人・在留資格保持者」を区別する根拠なし
一方、外国人に対する新規入国禁止措置に対しては、先にWHO(世界保健機関)の関係者が入国の可否を自国民かどうかで判断する日本政府の対応に疑問を呈したほか、「科学的ではない」とか「鎖国政策」と指摘する専門家の声も少なくない。今回の要望では同措置について「WHOの談話を待たずとも海外からは差別的と受け取られている」と断じた上で、防疫的な観点から、「長期滞在者」としての新規入国者と、日本人や在留資格保持者との違いの合理的な根拠は認められないと指摘した。今後、検疫措置に関して外国人差別を行わないよう、さらに呼びかけることも検討しているという。
「扉を開く会」では入国禁止から続く一連の推移により「日本への不満、批判」が深刻なレベルに変化しつつあることに懸念を示すとともに、今後も、「留学生を含むレジデンストラックの基本的受入れ」をゴールに、活動を続けるとしている。
★末松文科相、来日できない留学生向けメッセージを配信
留学生を含む外国人の新規入国が年末まで停止されたことを受けて、末松信介文部科学大臣は8日、「日本留学を心待ちにしていた留学生の皆様へ」と題する動画をYouTubeで配信した。動画では、ようやく日本で学ぶ目途が見え始めた矢先に入国が叶わなくなったことを「大変残念に思います」と述べ、日本に関心を持ち留学を希望する若者たちが、実際に日本に住み様々な人と交流し、卒業後は日本の良き理解者として活躍してもらうことが大切との認識を示した。
その上で末松文科大臣は当面の措置として、留学予定者らがオンラインなどを活用し、母国でも学習を進められるような環境整備を行う意向を表明。オンライン教育コンテンツをまとめたプラットフォームの整備や、オンライン環境での質の高い日本語教育への支援を進めるとしている。
今後の入国再開を見据えた文科省の取組としては、一連の申請手続きを最大限迅速化できるよう、大学等の関係者と連携していく方針を強調した。
末松文科大臣は動画の最後に、留学予定者らに対して、「皆さまが日本で安心して学ぶことができる日が来るまでは、学習環境を整えつつ、日本でお会いできる日を心待ちにしております」とのメッセージを添えた。
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林芳正外相は7日の定例会見で、オミクロン株の拡大を受けた留学生等外国人に対する入国禁止策に関連して、いわゆる「特段の事情」による新規入国については「個別の事情を踏まえ、このタイミングで入国が真に必要であると認められるものに限るなど厳格化して適用している」と述べた。こうした運用方針の変更を受けて「留学生に限らず、これまで特段の事情で入国が認められてきた者でも新規入国が停止されている状況だ。1か月程度、最悪の事態に備えるということで、臨時特例の措置を取っている。(関係者には)ぜひご理解いただきたい」と述べた
政府が今後水際対策を変更するにあたっての判断根拠としては「オミクロン株についての情報や諸外国の対応等」も参考にするとした上で、関係省庁と対応を検討していく意向を明らかにした。
※「再入国者は日本との関わり深い」 対象拡大は慎重に判断
一方、現在アフリカ10か国を対象に行われている外国籍者の「再入国禁止」に関して今後対象エリアが広がる可能性を問われた林外相は、「再入国者はすでにわが国に在留資格を所持していてわが国又はわが国国民と一定の関係を築いている方々であり、日本社会との関わりが強い。再入国停止によって様々な影響が生じることを考慮して、慎重に検討を行っていきたい」と述べた。当面は、入国時に検疫所指定施設で10日間の待機を求めているオミクロン株の指定国・地域以外については、再入国を容認していく方針を表明した形だ。
日本語教育機関の6団体は、留学生の新規入国に関連して、このほど出入国在留管理庁と文部科学省に対し改めて要望書を提出した。日本政府は先月30日より新型コロナウイルス感染症オミクロン株への緊急対応として、留学生を含む外国人の新規入国を12月31日まで一時停止し、これに伴って所管省庁への入国申請手続も受付が中断されている。
6団体の要望書では、日本政府の判断について「致し方ない措置」であると一定の理解を示しつつも、留学生は一日も早い入国を心待ちにしているとして、受入れ機関を通じた審査済証の申請受付・審査については停止せず、入国制限が解除された後速やかに入国できるようにしておくことを求めた。この間に留学予定先を日本から他の国へ変更する人や入学辞退者が増えている状況も踏まえ、政府に対して日本が留学先として選ばれるために一丸となって対応するよう促す狙いもある。
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今年4月に介護福祉士養成施設へ入学した外国人留学生は2189人で、全体の過半数(1198人)を東南アジア出身者が占めたことが、日本介護福祉士養成施設協会(介養協)のまとめでわかった。新型コロナウイルス感染症の影響などで実数は前年(2395人)よりわずかに減ったものの、減少率は8%に止まっていて、入学した留学生の出身国・地域の数は28と、前年から逆に8か国増えるなど多国籍化が鮮明になりつつある。
留学生の国・地域別 入学者数ではベトナム(750人)を筆頭にネパール(620人)、中国(254人)が特に多く、以下、フィリピン(187人)、インドネシア(133人)、ミャンマー(75人)、タイ(41人)が続いている。
なお日本人学生を含めた介護福祉士養成施設全体の総入学者数は7183人で、高校生等新卒者が対前年比347人増えた影響もあり、3年続きで増勢を維持した。
★日本語能力試験、中国で中止の余波広がる
12月5日の日本語能力試験(JLPT)は、新型コロナウイルス感染症に伴う現地の規制等により、国外で中止に追い込まれる会場が多く出る結果となった。この内、中国では北京で北京大学、北京外国語大学等、上海で上海大学や華東師範大学等が実施を見送ったほか、南部の広州では中山大学に続き、広東外語外貿大学も試験会場周辺が中度リスク地域となった状況を受けて、前日の4日に中止が決まるなど影響が出た。少なくともいずれかの試験会場が中止となった都市は中国全土で20に上るとみられる。国際交流基金の関係者は3日時点の取材に対して、中国内で試験が受けられない学生は出願者ベースでほぼ半数に及ぶとの見通しを述べていた。
なお中国の大陸部では日本留学試験(EJU)が実施されていないことから、JLPT12月試験の一部会場における中止は、2022年以降の入学予定者に対する各大学等の書類審査にも、一定の影響を与えるとみられる。
★オミクロン株以外の「3日間待機国」 ワクチン証明で水際緩和
政府は水際対策の対象地域を再度見直し、12月5日0時から、米国のニューヨーク州、ハワイ州など4州とインドのカルナータカ州、及びルーマニアとギリシャを、新たにオミクロン株の指定国・地域とし、検疫所が指定する宿泊施設で3日間待機とした。
一方で待機施設の収容能力が逼迫してきた状況を踏まえ、これまで3日間待機を求めていた対象の内、オミクロン株が確認されていない国・地域からの入国者でワクチン接種証明書を持つ人に関しては4日0時より、入国後ダイレクトに自宅待機へと移行させる方針も決めた。アジア地域でこれに該当するのは、ネパール、パキスタン、フィリピン、モンゴル、ウズベキスタンの5か国で、一方、香港(待機3日間)と韓国(待機6日間)は引き続き指定宿泊施設での待機を求められる。
また南アフリカなど10か国に滞在していた外国人については、引き続き再入国者も含め入国禁止措置を継続する。
★文科省、水際対応に関するタスクフォース設置
文部科学省はこのほど、文部科学事務次官をヘッドとする「水際対策強化に伴う対応に関するタスクフォース」を設置することを決めた。オミクロン株に対する政府の緊急避難的な措置により外国人の新規入国が当面年末まで禁止され、内外で様々な影響が出ていることを踏まえた取組だという。
末松信介文部科学相は入国禁止などの政策について「丁寧な説明をするとともに、関係者の思いに真摯に耳を傾けたい」とした上で、水際強化に伴う課題や要望を聞き取り、同省としての対応を検討していく方針を明らかにした。
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