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2021-10-04 14:16:00

~告示校662校等の嘆願添え 政府に「出口戦略」の提示求める~

 

菅義偉首相は先月28日の会見で、現在一時停止中の外国人留学生の受入れ再開を検討していく方針を示したが、これと前後して日本語教育推進議員連盟(河村建夫会長)が政府に対し行った入国制限緩和を求める要望書には、全国の日本語教育機関(告示校)の8割以上に相当する662校が名を連ねたことが分かった。目下、主要先進7か国(G7)の中で留学生の入国を原則拒否しているのは日本だけで、この間、水際対策を行いつつ留学生の受入れを再開した韓国などに日本留学希望者が流出しつつあることから、日本語議連では政府に対して早期の対応を求めている。

日本語議連が加藤勝信官房長官に提出した要望書では、日本政府から今後の留学生受入れ方針が何ら示されていないために、来日を目指して待機中の留学希望者らの「日本に対する期待は不信感に変化しつつある」と指摘。在籍学生数の激減に見舞われている日本語教育機関の経営が行き詰まることは、単に各機関の事業継続の問題ではなく、「多文化共生社会を担う日本語教育インフラの崩壊」を意味すると訴えた。同時に重要な外国人人材の卵が他国へ流れてしまうことは、人口減社会である日本の将来にとって様々な分野で大きな社会的損失になると警鐘を鳴らしている。

その上で日本語議連では、「入国制限早期緩和」と、「Withコロナ下で安定的に留学生の受入れが可能なスキームの確立」を要望した。

具体的には、まず在留資格認定証明書が交付されていても入国できず本国で待機中の学生らを念頭に、一層の安心・安全の条件の下で積極的に受入れを進めるべきとして、▶受入れ緩和やビザ発行条件に、ワクチン接種と陰性証明を必須とする、▶ワクチン外交の一環として留学生や日本で就職希望の学生に、在外公館でのワクチン接種を可能にする、などを提案。日本にとっての留学生の重要性に鑑み、早期の入国制限緩和とそこに向けた出口戦略を示すよう政府に求めている。

同時に他国の状況なども参考にしながら、感染拡大防止と両立できる受入れスキームとロードマップを、日本語教育機関等と協力しながら早期に確立することも要望した。

これに先立って、日本語教育機関6団体が呼び掛けていた嘆願書には全国の告示校662校が実名で賛同しており、日本語議連による加藤官房長官への要望書には、各教育機関のリストが添えられている。なお要望書にはこの他に、専門学校ら数校も賛同した。

 

★私大連は私費留学生の入国緩和を文科省に要望

 

一方、日本私立大学連盟(私大連)は、私費留学生等の入国緩和を求める要望書を、文部科学省に提出した。要望書では日本への留学を希望する世界の学生がその選択を諦めざるを得ない状況になっているとした上で、入国制限の更なる継続は、日本への留学機運を削ぐだけでなく、すでに入国した学生の他国への転学や今後の志願者減少をもたらしかねず、大学や日本全体にとり大きなダメージになると指摘。すでに入国が可能となっている国費留学生だけでなく、私費留学生についても入国制限を緩和するよう求めている。私大連によると目下、国費留学生の割合は留学生全体の3%に過ぎず、私費留学生が実数にして30万人近くと96%を占める。

要望書は同様に交換留学生の扱いにも言及し、コロナ禍前まで受入れと派遣の両面で私立大学が主要な役割を担ってきた状況を踏まえ、中長期にわたる交換留学生は不要不急の短期渡航とは区別し、受入れを可能とするよう要望した。

私大連では、文科省を始めとして、留学生の入国・在留を所管する法務省や外務省にも私立大学の状況を理解してもらえるよう、要望を行う予定だとしている。

 

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2021-09-30 16:54:00

 

新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言解除に伴い、菅義偉首相は国際的な人の往来再開を視野に、留学生等に対する入国制限緩和も検討していく方針を明らかにしたが、28日の首相会見直前に開催された新型コロナウイルス感染症政府対策本部の配布資料にも、新規入国の再開を含めた水際措置の段階的な見直しが盛り込まれていたことがわかった。

同資料によると、現在一時停止されている外国人の新規入国について、「国内のワクチン接種の進捗状況、海外での感染状況等を見ながら、ワクチンの有効性なども踏まえ、行動管理や検査も組み合わせた管理措置による入国の検討」を進めると明記。コロナウイルス対応においても、すでに日本国内における主要な流行株に置き換わったとみられるデルタ株に代わり、ワクチン効果が不明なベータ株等や、新たな変異株であるミュー株等の流入を防ぐ対策に力点を置く方針が打ち出されている。

政府が明日(101日)から始める新たな水際対策では、ワクチン接種証明書の提示により、入国後の自宅や指定宿泊施設等における待機措置を一部緩和する措置がスタートする。こうした取り組みをベースに、今後、留学生ら新規入国者の受入れ再開にあたっても、海外におけるワクチン接種歴等を活用した「管理措置」の枠組みが検討される可能性がある。

 

★「日本留学アワーズ」大賞を発表

 

(財)日本語教育振興協会による2021年「日本留学アワーズ」の最終結果がこのほど発表された。同アワーズの選考は例年、全国の日本語学校の教職員から「留学生に勧めたい進学先」をアンケートで回答してもらう方法で、今年は全国166校より450票が集まったという。国公立大学、私立大学(文科系、理工系)、専門学校(技能・技術系、社会・文化系)など各部門別に東西地域選出のトップ校10校を選出し、さらに大賞1校が選ばれる仕組みだ。

今年私立大学で大賞に選ばれたのは、文科系部門が拓殖大学(東)と流通科学大学(西)、理工系部門が東京理科大学(東)と立命館大学(西)で、専門学校は技能・技術系部門が日本電子専門学校(東)と専門学校トヨタ名古屋自動車大学校(西)、社会・文化系部門は専門学校東京国際ビジネスカレッジ東京校(東)と専門学校エール学園(西)だった。国公立大学部門では横浜国立大学(東)と神戸大学(西)が大賞に選出された。

これら受賞校の内、専門学校東京国際ビジネスカレッジ東京校と横浜国立大学は、5年連続の大賞に輝き、アワーズの規定に則り新たに「殿堂」入りとなった。

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2021-09-29 10:53:00

 

菅義偉首相は緊急事態宣言解除に伴う28日の会見で、新型コロナウイルス感染症の水際対策により新規入国を停止中の外国人留学生について受入れ再開の見通しを問われ、「外国人留学生の新規入国については現在原則一時停止しているが、(外国人留学生の受入れは)大学等の国際化や教育・研究力を向上させる観点から重要だと考えている」とした上で、「国際的な人の往来については、制限を緩和していく方策をこれから積極的に検討していきたい。留学生の入国についても、国内におけるワクチン接種の進展や国内外の感染状況を踏まえながら、ここは前向きに検討していきたいと思っている」と明言した。退任直前とはいえ、首相自身が留学生の受入れ再開に直接言及したことで、関係省庁間における検討が今後本格的に進むことが期待される。

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2021-09-28 11:20:00

~政府、101日より実施の方針~

政府は1010時より新型コロナウイルス感染症に対する水際対策を一部変更し、入国者に求めている指定宿泊施設や自宅等における待機措置を、ワクチン接種証明書の所持者について緩和する方針を決めた。全国における緊急事態宣言が今月30日に解除される見通しとなったことも踏まえた措置だが、対象となるワクチンや国・地域の範囲は限定的で、来日・再来日を予定している留学生等に対する更なる緩和が待たれる。

新たな水際対策措置では、現在原則として入国後14日間求めている自宅等での待機期間について、ワクチン接種証明書を所持しており、同10日目以降自主的に受けた検査で陰性が証明された場合、それ以降の待機を免除し、実質10日間に短縮する。また現行ルールでは、政府が変異株の流行国・地域と指定したエリアについては、入国時に指定宿泊施設における6日間か3日間の待機を義務付けているが、この内、101日から待機期間が3日間となる33か国・地域については、ワクチン接種証明書の所持を条件に、宿泊施設等での待機を免除する。つまり3日間待機か自宅等待機の対象者については、ワクチン接種証明書の提示と入国10日目以降の陰性証明により、待機期間が最短10日間に短縮されることになる。

※ワクチン接種証明書の対象は限定的

今回の水際緩和の対象となるワクチン証明書は、日本国内だけでなく外国で発行されたものも有効となる。ただワクチンはファイザー、モデルナ、アストラゼネカのいずれかを2回以上接種し、2回目の接種日から14日以上経過していることが条件。証明書の記載は日本語か英語で、それ以外の言語には翻訳を添付し、氏名、生年月日、ワクチン名(メーカー)、接種日、接種回数が明記されている必要がある。

またワクチン接種証明書は所定の国・地域の公的機関が発行したものに限定されていて、アジア地域で有効とされているのは香港、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、スリランカの7か国・地域のみ。例えばアストラゼネカから技術供与を受けてインドで製造されている「コビシールド」や、WHO(世界保健機関)が緊急使用リストに追加済みの中国製不活化ワクチンについても、厚生労働省は現時点でワクチンとして認めておらず、今回の制限緩和の対象外とされている。

※宿泊施設待機の対象・期間を変更

水際対策の一部緩和と並行して、政府は指定宿泊施設等での待機を求める変異株流行国・地域について9300時以降、適用エリアも変更した。アフガニスタン、キルギス、スペイン、ネパール、ミャンマーの5か国は3日間待機から「待機なし」に変更となったが、フィリピンやブラジル、ペルーなど9か国は待機期間を6日間に延長し、アルバニアとギニアも「待機なし」から3日間待機へと変更された。

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2021-09-27 11:23:00

~外国人留学生高等教育協会が官房長官に要望~

 

   全国の専門学校や日本語学校等、187校で組織する外国人留学生高等教育協会(外留協)は、留学生の入国規制緩和とワクチン接種支援に関する共同要望書を、菅義偉首相と加藤勝信官房長官あてに提出した。外留協によれば、全国の関係各団体に共同要望を広く呼び掛けたところ、27団体から賛同が寄せられ、24日に正式な要望へと至った。

  当日、外留協側からは日本語教育機関が直面している窮状と、大学や専門学校等に今後及ぼす影響、及び将来的な高度外国人材確保への懸念などを説明。入国時のワクチン接種証明の提示や、新規入国留学生へのワクチン接種支援など万全の防疫措置を講じた上で、入国制限緩和を行うよう要請した。要望書を受け取った加藤長官は現状の政府対応と今後の経過予測について見解を述べたという。

   日本語教育機関関係者の間では、今週中に有力視されている緊急事態宣言の解除が、水際対策緩和への呼び水となることへの期待が出ているが、折しも自民党総裁選のさなかで、入国制限など政策の大幅な見直しが行われるのは新政権に移行してからになるのではとの見方もある。

   目下、主要先進7か国(G7)の中で、コロナ禍とはいえ留学生の新規入国を原則禁止しているのは日本だけであり、在留資格認定証明書を申請・取得しても査証(ビザ)が発給されずに来日できずにいる留学予定者は2万人を超えると推定される。

   先月来、介護人材養成機関や日本語教育機関等の関係団体からは、留学生の入国制限緩和を求める要望が相次いでいる。依然として新型コロナウイルス感染症の脅威は続くが、ここにきて日本国内におけるワクチン接種率の高まりと、新規感染者数の大幅な減少も相まって、制限解除への環境は整ってきており、今後の政府の対応に注目が集まる。