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2021-09-02 12:29:00

文科省の令和4年度概算要求 概要が判明

 

文部科学省は令和4年度予算の概算要求に、大学等の留学生交流予算として、対前年比6億円増の341億円を盛り込んだ。「留学生30万人計画」の検証結果を踏まえ、学生の派遣・受入れの両面で質の高い国際流動性の確保に取り組むとしている。この内、受入れ面では優秀な留学生の戦略的な獲得をめざし、2935千万円を計上した。

内訳は外国人留学生奨学金制度が対前年度予算比1億円増の226億円、日本学生支援機構(JASSO)の留学生事業向け運営費交付金が同2億円増の63億円などとなっている。奨学金関係では国費外国人留学生制度に11371人、学習奨励費(留学生受入れ促進プログラム)に7420人分をそれぞれ想定する。JASSO事業については、留学生宿舎の運営、奨学金の支給等の他に、日本留学試験(EJU)のコンピュータ試験化に向けた予算も含まれる。

また国立高等専門学校の国際化を目指す枠組みにおいては、「KOSEN(高専)の海外展開と国際標準化」を目指し、モンゴル、タイ、ベトナムの重点3か国で、留学生への日本語教育体系を強化するための予算措置を講じる。タイでは日本型システムを導入した高専がすでに2校開校していて、同国から日本への留学生受入れをさらに拡充する意向だ。

一方、「大学の世界展開力強化事業」と銘打った新規事業(要求額5億円)では、コロナ禍で留学生市場がリセットされ、オンライン活用の普及や英語圏優位からの変化がみられるとして、英語圏からの優秀な留学生獲得に向けた支援策を模索。豪州、インド、英国との2国間以上で行われる双方向型の大学間・学生交流プログラム(16件、1件あたり3千万円)を採択・支援する方針も打ち出した。

全般的に、既存の留学生支援策と併せ、中長期留学や学位取得型留学へと繋げていくための、オンライン交流や短期留学にも目配りした予算編成となっている。コロナ禍で留学希望者の状況も変化する中、新たな留学生層の掘り起こしが当面の政策目標となりそうだ。

 

★在留手続きのデジタル化推進にも予算措置

法務省の令和4年度概算要求概要も明らかに

法務省は令和4年度予算における同省の概算要求(概要)を公表した。新設のデジタル庁所管分も合わせると、今年度予算比で617億円の増額要求となる8469億円が計上されている。この内、「外国人材の受入れ・共生社会の実現に向けた取組の推進及び出入国在留管理体制の強化」が重点事項の一つに掲げられ、2792500万円が盛り込まれた。

具体的には政府が先に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対策」で課題に挙げた、①特定技能外国人のマッチング支援充実、②外国人在留支援センターにおける効果的支援の実施、③不法滞在者に対する長期収容等の課題解消、④在留手続きにおけるデジタル化推進等の施策充実、への対応などが念頭にある。外国人受入れのための環境整備と相談体制の強化、及び出入国在留管理体制の強化を行うための予算という位置づけになる。

 ※名古屋入管の事案を念頭に 収容施設の医療体制整備も謳う

同時に「矯正・出入国在留管理施設等の環境整備」にも385億円あまりが計上された。先に名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人女性が死亡した事案等を踏まえ、収容施設における適切な医療体制の整備に努めるとしている。

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2021-08-26 11:50:00

コロナ禍の入国制限や日本語の習得難が影響か

 

「特定技能」の在留資格をもつ外国人の内、82%が、「留学」など他の在留目的から在留資格変更許可を受けて在留している実態が明らかになった。当初から「特定技能」目的で在留資格認定証明書を申請し日本入国時に許可を受けている人は頭打ち状態で、ここのところ全体の2割を下回る状況が続いている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う入国制限で、海外からの新規入国が半年以上滞っている影響もあるとみられる。

出入国在留管理庁が今年6月末時点の速報値で明らかにしたところによると、「特定技能」外国人の総数は2万9144人で、3か月前から約3割増加したが、増加分はほぼ日本国内における在留資格の変更者で、これに該当する人は2777人増の2万3917人。前年度に大学や専門学校を卒業した留学生が相当数、就職先で「特定技能」の在留資格を取得した実態が垣間見える。

一方、「特定技能」全体でみると、就労分野別では「飲食料品製造業」の比率が35%と最も高く、以下、農業、建設、介護が続く。この内、最近留学生の就職者も多い介護分野は、昨年末時点の939人から半年でほぼ28倍の2703人に急増した。出身国・地域別では、「特定技能」全体の6割をベトナム(18191人)が占めており、フィリピン<2621人)、中国(2499人)、インドネシア(2338人)、ミャンマー(1265人)までが千人以上となっている。

なお分野ごとに行われる技能試験の合格者は6月末に47千人を超えるなど一定の規模に達しているが、同時に実施されている日本語試験(JFT Basic)の合格者数と受験者数との間には大きな開きがあり、制度上、日本語の習得が大きな壁となっている実態もうかがえる。

 

★「宣言」地域を再追加 教職員へのワクチン接種推進を要請

政府は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の対象地域を、27日から再追加する方針を決めた。これに伴う海外からの水際対策に、大きな変更はない。一方、基本的対処方針には、学校における教育活動の安定的な継続のため、教職員のワクチン接種を推進する取り組みが盛り込まれた。

具体的には、大学拠点接種の実施大学に対して接種希望者への積極的な協力を依頼するとともに、各地域の教育委員会や私学担当部局がワクチン担当部局と連携し、教職員ができるだけ早く接種できるよう配慮を要請するとした。すでに20日には、文部科学大臣名で各地方自治体や大学拠点接種の実施大学に対し、優先接種への協力を依頼しているという。

一方、厚生労働省が武田薬品工業からの報告を受け、モデルナ製のワクチンに関連して39件に上る異物の混入が見つかったと発表し、一部のワクチンの使用を中止する事態となった。今後の状況次第では、同ワクチンを使用し実施中の大学拠点接種にも何らかの影響が出ないか懸念される。

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2021-08-26 11:48:00

 

日本語教育振興協会(日振協)は5月以降に実施していた「日本語学校教職員が選ぶ留学生に勧めたい進学先アンケート」に基づき、「日本留学AWARDS 2021」の入賞校を発表した。私立大学は「文科系部門」と「理科系部門」、専門学校は「技能・技術系部門」と「社会・文化系部門」に分け、国公立大学部門も含めて、それぞれ東日本地区と西日本地区で各5校ずつが選出されている。この内、私立大学では東海大学、拓殖大学及び立命館大学の3校が、文科系と理科系の双方でノミネートされた。

各部門の大賞は、92414時からオンライン配信で行われる表彰式で発表される。

 

★在日アフガン人向け 「在留資格を適切に判断」

~法相が特例措置を示唆、退去強制者は当面送還せず~

アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが全土を掌握するなど政治情勢が流動化している状況を受けて、日本に在留しているアフガニスタン人の処遇が新たな焦点に浮上している。先にミャンマーで政変が起こった際には、日本政府が在留を希望するミャンマー人に対して緊急措置を打ち出し、在留資格の変更・更新や就労可能な特定活動を原則許可する方針を打ち出したほか、一部の五輪参加選手について難民申請を認めた経緯がある。今回のアフガンをめぐる状況も、海外在住者の帰国に不安を抱かせる点でミャンマーと共通する面があり、入管当局の対応が注目されるところだ。

こうした中、上川陽子法相は定例会見で在日アフガン人向けの対応方針について「現下の情勢を含めた個々の事情を考慮して、在留資格の判断を適切に行っていく」と述べた。同時に退去強制令書を発付済みの人についても、「現状を踏まえ、本人の意思に反して送還することはしない」としていて、今後ミャンマーと同様の特例的な対応を行う可能性を示唆した。アフガニスタンからの難民受入れについては、「申請者ごとに申請内容を審査し、難民条約の定義に基づいて判断していく」とする従来方針を堅持した。

入管庁によれば、昨年12月末時点で日本に在留資格を所持し在留中のアフガニスタン国籍者は3509人おり、在留資格別では、就労を目的とする「技術・人文知識・国際業務」が900人、「経営・管理」が293人おり、これらの家族とみられる「家族滞在」者が1678人と多数を占める。また日本国内の教育機関で学ぶ「留学」生は126人、教職に従事する「教授」は4人となっている。「日本人の配偶者(25人)」や「永住者(243人)」、「定住者(133人)」など比較的安定的な身分を所持する在留者も相当数に上る一方で、難民認定手続き中の人が昨年末時点で20人いた。

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2021-08-23 14:52:00
「2022大学特集号/専門学校特集号(7/ 15号)」の電子版配信をスタートしました!

 

留学生を募集する主要校の2022年度留学生入試 最新情報を満載!

 

『留学生新聞』では今年も、留学生を募集する全国の大学・専門学校の情報を満載した「2022大学特集・専門学校特集(第1弾)」を組み、電子版によるオンライン配信を開始しました。

この内、「大学特集」では有力私立大学の2022年度留学生募集概要、留学生在籍総数、日本留学試験の扱いなど最新の募集トピックスに加え、各校の留学生募集サイトに直接アクセスできる「QRコード特設ページ」も設けております。進学先選びや進路指導にどうぞご活用ください。

 

アクセス先はこちら↙↙

 

https://cdn.goope.jp/176510/210714155401-60ee8a095c750.pdf

 

またはホームページの(電子版)をご覧下さい!

2021-08-23 14:48:00

日本語教育に関する文化庁報告書 大学に関連するポイントを整理

 

文化庁の調査研究協力者会議は「日本語教育の推進のための仕組みについて」と題する報告書を正式に公表した。先月末明らかになった原案に沿った内容で、新たに創設される「公認日本語教師」資格と、日本語教育を実施する機関の「類型化」について一定の方向性が打ち出されている。今後は同報告書に基づき、新たな日本語教育制度の詳細が検討されていく見通しだ。

(既報「原案」に関する概要は下記本紙バックナンバー2021.7.30参照。)

一連の検討プロセスでは、「公認日本語教師」資格の取得要件や試験内容がどうなるのかや、日本語教育機関の「類型化」に関する制度設計が大きな関心を集めているが、それらとは異なる観点から注目されるのが、大学における日本語教育との関わりだ。大学の学歴や日本語教師養成課程、あるいは既存の留学生別科が、新制度の中でどう位置づけられるかは、今後の日本語教育の展開において重要な意味あいを持つ。今回の報告書から、大学と直接的に関連する内容を抽出すると、主に下記の3つのポイントに集約される。

①大学等の日本語教師養成課程の扱い

報告書では、「公認日本語教師」の資格取得に必要な教育実習を行う「指定日本語教師養成機関」として大学等も想定。先に文化審議会国語分科会が「必須の教育内容」と定めた50項目を履修・修了すれば、資格試験の内、筆記試験の一部と面接を免除する方針を明文化している。大学の日本語教育に関する養成課程については、26単位以上(専門学校等の日本語教師養成研修は420単位時間以上)の取得により免除対象とした。ただ具体的な制度づくりにあたっては、各大学ごとに教育内容が必ずしも一律ではないことに留意する必要性に言及したほか、すでに同課程を修了後に相当程度経過した者が受験する際の取扱いについても、今後検討を要するとしている。

②資格取得要件としての大学学位の扱い

当初、令和23月に国語分科会が示した報告書においては、「日本語教師には幅広い教養と問題解決能力が必要」との理由から、新たな日本語教師資格の取得要件には「学士以上の学位の取得」が含まれていた。だが今回の調査協力会議による報告書では、これら能力について「必ずしも大学・大学院のみで培われるものではない」と述べ、「試験等を通じて一定の知識・技能を有しているか確認」することにより担保できるとして、学士以上の学位を「公認日本語教師」の資格取得要件にはしない方針を打ち出した。そもそも同資格が内閣提出法に基づくいわゆる「名称独占資格」を想定していて、類似の国家資格で学士以上の学位を取得要件としている資格がないことも背景にあるという。

③大学別科の扱い

一方、日本語教育を実施する機関の「類型化」を巡る議論では、多様な学習対象者を念頭に、職務や評価項目の違いから、「留学」、「就労」、「生活」の主要3類型に分類した。このうち類型「留学」を担う機関に想定されるのは「法務省告示日本語教育機関」としたが、焦点の一つとなっている大学の留学生別科の扱いについては、今後「個別の必要性に応じ、段階的に検討する」として対応を留保した。

なお類型「留学」の主体となる機関に対する審査項目(案)には、コース設定、授業科目、教員数、教員要件、教材、第三者評価等、既存の法務省告示基準とほぼ同様の評価項目が挙がっており、双方の基準の連携や接続も今後検討される見通し。また全ての類型について、移行期間経過後には「一定数以上の公認日本語教師の配置を必須とする」方向性が打ち出されている。

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※関連記事(バックナンバー:「留学生新聞ニュース」 2021.7.30号より)

★「公認日本語教師」資格の大まかな方向性を提示

~文化庁の調査研究協力者会議が報告案公表

国家資格の創設に向けた検討が進められてきた「公認日本語教師」について、制度のおおまかな骨格が固まってきた。文化庁の調査研究協力者会議は729日の会合で、日本語教育の推進に関する新たな報告書を配布したが、この中で同資格の実施方法や運営主体、試験内容等に関する案が示された。

同案によれば、試験は文部科学大臣の指定する法人が実施主体となり、全国で年1回以上、筆記方式にて実施する。筆記試験の内容は、①日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する試験、②現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する試験、の2つを行い、さらに資格取得にあたっては教育実習の履修・修了も求める。教育実習は大学や専門学校等、文部科学大臣が指定した日本語教師養成機関で行い、同養成機関の履修者は、例えば大学の場合26単位以上の取得により教育実習と筆記試験の一部(上記の内①) が免除される仕組みが想定されている。

なお「公認日本語教師」の取得にあたっては大学学士以上の学位を取得要件とはせず、年齢、国籍、母語も問わない。また取得した同資格に関しては更新講習の受講は求めず、各自が知識や技能向上を目指して自分に合った研修を受講するとしている。

一方で、現職日本語教師が同資格の取得を希望する場合には原則として、筆記試験合格と教育実習の履修・修了が必要としつつ、「教育の現場における実践的な資質・能力が担保される者に関しては教育実習の免除などの配慮を検討する」とした。

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