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岸田首相が表明 留学生の来日加速へ“特別枠“上乗せも容認
岸田文雄首相は3日夜の会見で海外からの水際緩和を更に進め、一日あたりの入国者総数の上限を今月14日より、現在の5千人から7千人に引き上げる方針を表明した。新学期を間近に控える15万人の待機留学生らが、希望通り入国できるか不安に感じながら来日を心待ちにしている現状を踏まえ、首相は「わが国の宝とも言える留学生が、国民の安心を保ちつつ円滑に入国できるよう、『留学生円滑入国スキーム』を設ける」との考えを表明。スキームの中身としては、「ビジネス客が比較的少ない平日を中心に、空席を活用して(留学生が)優先的に入国できるよう支援する」と述べた。
具体的には、月曜から木曜までの空席が多い航空便の座席を中心に留学生へ割り当てることにより、円滑な搭乗・入国を可能とする仕組みで、フライトごとに設定されている一般枠とは別扱いとする。首相は同枠を念頭に、一日あたりの新たな入国上限数(7千人)を「平日に限って千人程度上乗せ」することも想定していると述べた。
政府内では当初、留学生を7千人の別枠扱いとする案も浮上していたというが、空港検疫体制等を考慮し、基本的な総枠は7千人に収めつつ、実質的には留学生の「特別枠」を確保するスキームが打ち出された。
※留学生の搭乗希望を受入れ機関が集約、予約はサポートセンターが支援
文部科学省が国土交通省や出入国在留管理庁との間で調整済みの素案によれば、『留学生円滑入国スキーム』では、大学・専門学校・日本語教育機関等の留学生受入れ機関が、入国予定の留学生から搭乗するフライトの希望を集約し、文科省と入管庁が合同でつくる「外国人留学生入学サポートセンター」に報告。同センターが直接、航空会社に対してフライトの照会・申し込みを行う。航空会社は座席の「仮予約」を行い、再度センターから大学等受入れ機関を通じて、留学生に仮予約の内容と支払い方法を連絡する。最終的なチケット代金の決済と発券は本人が航空会社との間で行う。最終的に、国土交通省は航空会社を通じて入国予定者の予約数を把握する仕組みとなる。
文科省などは、留学予定者の来日が4月からの新学期に間に合うよう、今月中旬にも運用をスタートし、当面は5月末までの便を対象に申し込みを受け付ける予定だ。
なお留学生の新規入国は、『留学生円滑入国スキーム』だけに限定されるわけではなく、自身で航空券の予約が可能な留学生やすでに予約済みの場合は、必ずしも同スキームを利用する必要はない。
具体的な申請受付は来週以降に開始予定で、文科省は来週にも手続き方法等を公表するとしている。
※渡航の「足」確保で留学生の来日加速の流れを促進
今月1日に水際対策が緩和され、留学生の新規入国手続きが開始されてからも、日本人帰国者や外国人再入国者を含めた入国者数には総枠が設けられているため、留学待機者らの間では、「受付済証」やビザを取得しても実際に航空便の予約ができるのか、入国の先行きを見通しにくい状況が続いていた。今回、首相が留学生の実質的な「特別枠」を含む入国者総数引き上げへと踏み込み、さらに渡航の「足」が提供可能なスキームを立ち上げたことにより、新年度入りを挟んで、留学生の来日は加速しそうだ。
★「受付済証」発行 昨日までの累計で18万8千件に
新たな水際対策の下、今月から外国人の新規入国が再開されたことを受けて、査証(ビザ)申請の前提となる「受付済証」を入国者フォローアップシステム(ERFS)で交付された数が、システムの稼働後最初の1週間で18万8470件に達したことが分かった。関係機関のまとめによるもの。昨日(3月3日)一日だけでも、1万7947件が新たに上積みされた。日にち別では申請初日(2月25日)に単日としては最も多い4万5千件余りが集中。28日もほぼ同数の発行となっている。
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「受付済証」発行件数、2日までに約16万6千件
留学生等外国人の新規入国再開を受けて、入国者フォローアップシステム(ERFS)を使った入国申請が、稼働初日からハイペースで推移していることが分かった。受入責任者がオンラインで申請する「受付済証」の発行件数は2月25日が4万5千件、26日が1万3千件、27日が4千件、28日が4万4千件で、3月1日の3万1千件、2日の2万3千件を合わせると、2日18時までの累計で16万6860件に達した。なおこの数には留学生だけでなく、技能実習生等、他の在留資格認定証明書の取得者も含まれる。
「受付済証」は入国予定者が在外公館で査証(ビザ)を申請するにあたり、必ず提出が必要な書類となっている。
★ERFSで一時システムの不具合
入国者健康確認センターが謝罪の声明
一方、厚生労働省入国者健康確認センターは、入国者フォローアップシステム(ERFS)において、 2月28日にシステムの不具合が発生していたことを明らかにした。受入責任者が入力済みの受入責任者名、入国予定者の氏名、パスポート番号等の情報の一部を、他の受入責任者から一時的に閲覧できる状況が発生していたという。同日19時53分の時点でプログラムを修正し、システムの再リリースを行ったとのことで、その後システムは正常に稼働している。
センターでは今回の事態について公式に謝罪するとともに、「再びこのような事態を発生させることがないよう、 より一層の管理体制の強化に努める所存です」との声明を発表した。
★衆院文科委員会で留学生の受入れ巡り質疑
浮島議員、留学生の「入国別枠」等で政府見解質す
3月2日の衆院文部科学委員会で浮島智子議員(公明党)は1日から始まった水際緩和策に関して、1日あたりの新たな入国者上限枠が5千人では少なすぎるとの声がある、と問題提起した。その上で「毎日の入国者(総数)の1割が留学生だとしても全ての待機者が入国するのに1年以上かかる。4月の新学期に入国予定の留学生も速やかな入国が必要」として、現状では入国できるのは準備が整った早い者順となり、このまま多数が入国できなければ実質入国禁止と変わらず、結果として国際的な不信感を増強し将来の外交にも影響しかねないと指摘した。
そして厚生労働省に対し、入国者総数の上限を大幅に拡充する上で、ボトルネックとなっている課題を具体的に示すよう求めた。
これに対し厚労省の担当者は①検査機器や人員の確保といった検査体制の整備、②手続きの簡素化、③空港到着時の待機時間短縮や場所の確保、が課題との認識を述べ、新たな措置の開始以降、空港検疫におけるファストトラックの運用開始や検疫所職員の確保、業務の一部外部委託等に取り組んでいると回答し「今後入国者総数の更なる引き上げにも対応できるよう、引き続き検査の迅速化を含めた検疫体制の強化に向け取り組んでいく」と述べた。
浮島議員は先日の公明党文科部会での議論を踏まえ、留学生を入国者総数の上限とは別枠で扱い、入国を更に促進させるべきとの持論を重ねて述べた上で、既に一部メディアで報じられた「別枠」案を政府として検討しているのか事実関係を質した。
これに対して内閣官房の参事官は「今後の留学生の円滑な入国も含め、段階的に国際的な人の往来を増やしていく。この中で必要な対応を取っていきたい」と従来の見解を繰り返しつつ、今後追加対応を行う可能性をにじませた。また入国時に検疫所指定施設で待機を求められる留学生らの待機費用の扱いについては、2月までに申請手続き済みの対象者も、新たな措置に基づく手続きを再度行った場合には、国費の待機施設を利用可とする方針が示された。
一方、末松信介文部科学大臣は今後来日する留学生へのフォローアップについて「きめ細かなサポートを行うと共に、入学が遅れた方でも円滑に学習が開始できるよう、大学等に対して4月以降の学事日程の柔軟な対応を促していく」と述べた。
★ベトナムがオミクロン株の指定国・地域へ変更
厚生労働省は、海外から入国時に検疫所指定施設で待機が必要なオミクロン株の「指定国・地域」を再び変更した。3月5日からはベトナムが新たに追加される。
また英国、フランス、ドイツ、イタリア等13か国・地域は本日(3日)から「非指定国・地域」に変更され、ワクチン3回接種で入国後待機免除の対象となる。
現時点で「指定国・地域」となっているのは26か国・地域で、留学生の来日者が比較的多い国・地域ではインド、インドネシア、ウズベキスタン、韓国、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、ミャンマー、モンゴル、ロシア等となっている。
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出入国在留管理庁(入管庁)は近く来日予定の外国人が取得済みの在留資格認定証明書(COE)について、有効期間を再度変更した。新たな取扱いは下記の通りとなる。
①作成日が2020年1月1日~2022年1月31日のCOEは、2022年7月31日まで有効
②作成日が2022年2月1日~2022年7月31日のCOEは、作成日から「6か月間」有効
COEについては水際緩和後に留学生らの入国を円滑に行う観点から、先週開催された与党内の文部科学部会で、政府に有効期間の延長などを求める要望が出ており、入管庁関係者も前向きに対応する考えを述べていた。
★日本語教育機関の在籍最長「3年」特例 今年4月期生まで対象に
日本語教育機関の在籍留学生で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で入国時期が遅れるなどして進学や就職に支障が生じたり、当初想定していた学習目標に到達できていない場合は、在籍期間の2年間を超えて在学を継続し、進学・就職に合わせた時期まで最長1年間、日本語教育機関での在留期間を更新できる特例措置があるが、出入国在留管理庁では今年4月期入学生までこの適用対象にするとしている。
政府は今月1日より留学生等外国人の新規入国を、日本人帰国者も含め一日5千人の枠内で再開させているが、これから入国手続きを行う場合、来日が来月以降にずれ込む人が多数に上ることが見込まれ、在籍期間延長の特例を求める声が出ていた。
★ウクライナ入りの日本人大学生 隣国に無事退避
2月23日に滞在先のポーランドからウクライナ入りし、安否が懸念されていた日本人の男子留学生について、末松文部科学大臣は2月27日時点で本人が隣国のポーランドに退避できたことを同省として確認したと述べた。各大学への照会を通じて、現時点でウクライナ国内にいるとされる日本人留学生は他に確認されていないという。
★厚労相、新たな変異株の拡大時は「機動的にリスク管理」
後藤茂之厚生労働大臣は3月1日、水際緩和措置に関する今後の見通しを問われ、いわゆる「ステルスオミクロン」と呼ばれている「BA.2系統を含め海外からの変異株の流入リスクに対応するということも考える必要がある」と述べ、日本国内で新たな変異株の拡大等が起こった場合にはリスク管理を機動的に行っていく方針を表明した。これに先立って岸田文雄首相は先月17日、外国人の新規入国を3月から認める方針を打ち出した会見の場で、「感染状況に悪化の兆しがあった場合には即座に対応を見直していく」とも述べており、後藤大臣はこうした政府見解を重ねて表明したものとされる。
※往来拡大の流れ変わらず 留学生「特別枠」で入国を検討
一方で「内外の感染状況、入国需要の動向、検疫体制の整備・実施状況を総合的に勘案して、段階的に国際的な人の往来を増やしていく(後藤大臣)」方向性は変わっておらず、与党側からの要望を受けて政府内には、留学生に関し一日あたりの入国制限数5千人の枠外として受入れ促進を検討する動きも出ている。
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本日(3月1日)から外国人の新規入国が再開されたのに合わせ、入国予定者が日本入国前にアプリを使って検疫手続きの一部を事前に済ませることが可能な「ファストトラック」の運用が、本格的に開始された。すでに先行して先月7日からサービスを開始していた関西国際空港に加え、3月1日からは、羽田、中部国際、福岡も合わせた国内4空港で稼働する。現時点では、成田は対象外。
「ファストトラック」の手続きには、「My SOS」と呼ばれる入国者健康居所確認アプリを利用する。入国前に同アプリをスマホにインストールし、検査証明等の情報を入力しておけば、事前に審査の一部を終えることが可能になり、入国時には所定の画面を見せるだけで手続きがスムーズになる。
事前手続きに際して用意が必要なのはMy SOSがインストールされたスマートフォンの他に、パスポート番号、ワクチン接種証明書、検査証明書(出国前72時間以内の検査が必須)となっている。
さらに日本へ入国後の待機期間中は、このMy SOSを通じて入国者の健康状態、位置情報や居所の確認等を厚生労働省(入国者 健康確認センター)がフォローアップする形になるため、学校等の「受入責任者」は、入国者が事前にスマートフォンを用意できる場合には、あらかじめMy SOS をインストールしておくよう案内しておくのが望ましいという。
なおオミクロン株の「非指定国・地域」からの入国者で、ワクチン3回接種が完了している入国者については、入国後の自宅等待機が免除される関係で、My SOS によるフォローアップの対象外となるが、厚生労働省では入国者が万一濃厚接触者となった場合等も想定し、入国時点でインストールがされていない入国者等には空港検疫でMy SOS をインストールしてもらうとしている。
インストール先等の詳細は下記リンクを参照。
https://www.hco.mhlw.go.jp/fasttrack/
★ロシアへの査証発給停止は関係者限定 留学生等への影響はなし
岸田文雄首相はロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて、日本が決定したロシア向けの措置に関連し、「資産凍結と査証発給停止によるロシアの個人・団体などへの制裁」に言及した。この内、査証停止の中身について2月28日の会見で問われた松野博一官房長官は「日本への入国査証の発給停止は、現在の事態に関係するいわゆる両共和国やロシアの関係者をその対象とするものであり、ロシア国籍を有していることのみを理由に、直ちに査証の発給を停止することを意図したものではない」と述べた。3月1日からの水際緩和に伴う来日予定者への影響を否定すると共に、同問題をロシアの一般国民への対応とは切り分けて対応する意向を確認した形だ。現時点では、来日を計画している留学予定者らへの影響は避けられる見通しとなっている。
※ウクライナ・ロシア両国籍者に対し在留上の配慮も
一方、日本国内に滞在中のウクライナ国籍者に加え、ロシア国籍者についても反戦運動に参加するなどで帰国後に身の安全が懸念される在留者が出ていることに関連して、松野長官はいずれの場合も「難民認定申請がなされた場合には難民条約の定義に基づき適切に認定」し、また「難民条約上の難民とは認められない者であっても、本国情勢等を踏まえ人道上の配慮が必要と認められる者については、わが国への在留を認める」との方針を示した。
★公明党が留学生入国者の「別枠」確保を要請
公明党は25日に行った党文部科学部会で、水際緩和に伴い一日当たりの入国者上限数が5千人に引き上げられる措置とは別に、留学生の入国枠を別途確保するよう政府に要請したことを明らかにした。2020年からほぼ2年間に渡り入国が制限されていた影響で、同時期の来日留学生層が欠落し、日本の損失につながりかねないことを申入れの理由に挙げている。また在留資格認定証明書(COE)の有効期限延長や、留学見通しを立てる上で欠かせない情報の周知なども求めた。
★官房長官「段階的に人の往来を増やす」
松野博一官房長官は3月1日午前の定例会見で、水際措置の更なる緩和見通しについて「国内外の感染状況や日本人を含む入国需要の動向、検疫状況等を勘案し、段階的に国際的な人の往来を増やしていく」考えを重ねて明らかにした。留学生の受入れについては「外国との友好関係を構築し、わが国の教育・研究力の向上・発展に重要で、受入れは公益性が高く、これまでも個別に入国を認めてきた」として、往来再開は「社会・経済活動の活発化に資する」と述べた。
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昨年12月の一カ月間に日本へ新規入国した留学生がわずか12人(内、中国出身者6人)に止まったことが関係機関からの情報でわかった。月間ベースでは3月の102人を下回り、年内最低となった。直前の11月29日に岸田文雄首相がオミクロン株の世界的な拡大を理由に外国人の新規入国を停止した影響で、「特段の事情」による入国許可も大きく落ち込んだ形だ。
一方で政府は、昨年11月末の入国停止以降、今年2月10日までに約6千人の留学生に新規入国を許可したことを明らかにしている。12月の入国者がほとんどいなかったことから、この6千人はほぼ2022年に入ってから日本に入国していることも裏付けられた。
★ウクライナ情勢受けた入国希望に 法相「適切に対応」
古川禎久法務大臣は25日の閣議後会見で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関連して、ウクライナ国内の同国民が親戚や家族、友人を頼り日本へ入国を希望した場合の対応について、「政府全体として現地情勢を把握しながら、適切に対応していく必要がある」と述べた。政府は昨年2月にミャンマーで軍事クーデターが起こった際には、日本国内のミャンマー人に対する在留上の緊急避難措置を打ち出しており、在留ウクライナ国籍者への対応も焦点となる。
出入国在留管理庁によれば、昨年6月末時点で日本に在留しているウクライナ国籍者は1860人で、この内、永住者が941人とほぼ半数を占め、「日本人の配偶者等」も268人。「留学」生は64人おり、この他に就職者の「技術・人文知識・国際業務」が192人、「家族滞在」96人、「特定活動」47人等。古川大臣によれば、昨年12月現在でも在留者総数は約1900人とほぼ変わっていない。
★「特定技能」3か月で3割増え 5万人に
出入国在留管理庁のまとめによると、在留資格「特定技能」を所持する外国人が、昨年12月末時点でほぼ5万人水準(4万9666人)に達した。同9月時点の3万8337人からわずか3か月で、3割も増加している。国籍別ではベトナム出身者が3万1721人と引き続き多数となっている。コロナ禍の長期化で海外との往来が長らく停止している影響は大きく、技能実習からの移行者が3万9660人と全体の8割を占めた。「留学」からの在留資格変更も相当数に上ったとみられる。
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