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〜在籍校が要件満たす対象学生を推薦、要件は昨年度内容を踏襲か〜
文部科学省は新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に厳しい状況にある学生らが学びを継続できるよう、所定の要件を満たす学生約67万人向けに1人あたり現金10万円を支給する事業を近く行う方針だが、この対象には外国人留学生も含まれている。該当する教育機関は国公私立大学(大学院を含む)、短大、高専、専修学校専門課程と、法務省告示に指定される日本語教育機関で、各在籍校から対象学生を推薦するスキームとなる。
推薦する学生の目安としては、原則として自宅外で生活しており、家庭から多額の仕送りを受けていないか、家庭の収入減少等により追加的支援が期待できないこと等が挙げられている。文科省関係筋は『留学生新聞』の取材に対して、具体的な対象者の要件については、おおよそ昨年度支給時の内容を踏襲する形で、最近の社会状況も踏まえつつ検討していることを明らかにした。昨年度は留学生の推薦にあたっては上記の他に、成績や授業の出席率、仕送り金額等、学習奨励費の受給要件に準じる要件を満たすことが要求された。
文科省の調査では令和3年度にコロナ禍を理由とした中退者や休学者は前年度より増えており、スピード感のある給付により経済的な困窮を理由とする退学者等の更なる増加を食い止める狙いがある。同省は「学生等の学びを継続するための緊急給付金」として、今年度補正予算案に675億円を計上しており、補正予算の成立を受けてなるべく速やかに支給を進めたいとしている。
★在留資格認定証明書を電子化へ 補正予算案に計上
法務省は留学生等、長期間の在留目的で来日予定の外国人が来日前に取得する必要がある在留資格認定証明書(COE)について、デジタル化を推進するための予算を今年度の補正予算案に計上した。現在は紙媒体で交付しているCOEを電子化し、代理人などにメールで通知する形へと改める。
留学等の申請者は在外公館で査証(ビザ)申請を行う際にCOE原本が必要で、これまでは事前に学校等の受入れ機関が出入国在留管理庁に申請の上取得し、海外にいる本人に郵送しなければならなかったが、電子化されればこうした手間が省かれる。空港での入国時にも、COEの表示された電子メールを提示してもらう形に改めることで、利便性の向上を図る。
法務省では、行政機関同士の情報連携など、他の行政デジタル化も含め、必要経費として61億8700万円を盛り込んだ。
★日本留学試験(EJU) 感染防止策徹底で運営コスト増
文科省、「確実な実施」で補正1億円計上
文部科学省は今年度の補正予算案に、日本留学試験(EJU)を感染拡大防止策に配慮しつつ確実に実施するための事業費として1億円計上した。EJUは目下、国内16都道府県とアジアを中心とする国外14か国・地域で6月と12月の年2回、行われているが、今年度はデルタ株の蔓延などにより、試験の実施に際して新型コロナウイルスの感染拡大防止策を、さらに徹底する必要性が増した。具体的には、①試験会場が密集状態になるのを避けるため受験者間の距離を通常よりも離したことに伴うキャパの拡大、②増加する試験監督官の着実な手配、③コロナ罹患等が原因で本試験を欠席した受験生に対する追試験の実施、などが運営コストを押し上げた。
今年9月現在でEJUを入学選考等に活用している大学は889校に上っており、文科省では引き続き同試験の推進が、優秀な留学生の受入れや日本の大学の国際化に不可欠とみている。
★入国できない留学予定者向けのオンライン授業を財政支援
文化庁、400件程度を対象に 補正で41億円を計上
文化庁は新型コロナウイルス感染症の影響で入国が困難な外国人留学生への日本語教育が滞らないようにするため、オンライン教育を行う日本語教育機関等を財政的に支援する方針を決めた。ハイブリッド型やオンデマンド型など多様な授業形態により、留学予定者のレベルに応じたオンライン授業を実施し、日本語授業に参加できるようにする取組を対象として、1件当たり400万円から1千万円を財政支援する。今年度の補正予算案に41億円の事業費を計上しており、認められれば400件程度を対象とする計画だ。
コロナ禍で留学生に対する政府の入国制限が長期化し、水際対策が緩和された現在でも、留学生の入国は在留資格認定証明書(COE)の交付時期が早い人から段階的に実施しており、引き続き入国できないままの留学予定者が、今後相次いで留学を辞退する状況が危惧されている。
文化庁ではこうした層の日本語教育ニーズを満たすとともに、日本留学の辞退者増加を食い止める必要があると判断しており、今事業の推進により日本の大学等への外国人進学者がさらに減少しないよう予算措置を講じた。
事業の実施は国から民間団体に委託後、日本語教育機関等に再委託するスキームなどが検討されている模様で、同庁は事業成果を後日検証の上、オンライン教育のノウハウを全国展開することも視野に入れている。
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日本語教育機関の関係6 団体が最近加盟校向けに行った緊急アンケートの結果によると、日本政府の入国制限緩和を受けて、来年1月までの期間内に入国申請が可能な留学予定者は、許可対象となる在留資格認定証明書(COE)交付者数の46.1%と半数を下回っていることがわかった。
日本政府は当面、今年11月から来年1月までの期間に、留学目的の新規入国を申請できる対象者を今年3月31日までのCOE交付者に限定しており、3段階に分け順次認めていく方針を打ち出している。だが今アンケートで日本語教育機関316校の回答をまとめた集計によると、対象時期に該当するCOE 交付者 3万9007件のうち、今後実際に入国承認申請を行う予定となっている案件は1万7986件に止まった。とりわけ11月中と12月中に申請予定の対象者が当初のCOE 交付者に占める割合はそれぞれ22.4%、36.8%と低水準にある。残りの対象者については、昨秋以降の入国制限緩和時に入国済みか、あるいは既に入学辞退をしているとみられる。
※日本語教育機関6団体は入管庁と文科省に再度要望書を提出
こうしたアンケート結果を踏まえ、日本語教育機関関係6団体は26日、今年4月以降に交付されたCOEを所持する留学予定者についても、前倒しで入国承認申請ができるよう配慮を求める要望書を、出入国在留管理庁と文部科学省に対して提出した。
要望書では同時に、入国後の新型コロナウイルス検査が可能な国内の空港が現在6空港に限られている関係で、地方の日本語教育機関に入学を予定している学生が、入国後に各地域へ公共交通機関を利用せずに移動することが大きな負担となっている現状にも触れ、検査体制を那覇や仙台などその他地方の国際空港にも拡充するよう求めている。
★新規入国者の電子申請システムERFSが始動
厚生労働省は留学生等、新規で入国を予定している外国人に関して、受入れ責任者が「業所管省庁」に申請を行う際の電子申請窓口を設けた。「入国者健康確認システム(ERFS)」と呼ばれる新たなシステムでは、「審査済証」の発行等が行われるほか、受入れ責任者が申請後に入国予定日など入力情報の修正を行なうことも可能になるという。
厚労省によればERFSの利用には事前に所定のサイト(https://entry.hco.mhlw.go.jp/)よりログインIDを申請する必要があり、審査には数日間かかる見通しだ。EメールでID、パスワード、証明書が届いた後、証明書ファイルをPCにインストールするとログインが可能となり、情報登録後に「業所管省庁」に申請を行う流れとなる。入国後の待機機関終了報告も同システムを活用でき、もし入国後に本人が健康確認を怠るなど違反がある場合には、入国者健康確認センターからEメールで通知が届くという。
また文部科学省によれば、留学生の新規入国申請でERFSを利用する場合は、活動計画書、入国者のパスポートの写し、在留資格認定証明書(写)を電子システム上で提出し、その他の内容は、システムから入力する形となる。待機期間短縮のためのワクチン接種証明書(写)については、同省に事前提出する必要はない。文科省では12月1日までは従来の方法による申請も受理するが、今後は可能な限りERFSを利用した登録・申請を行うよう教育機関等に呼びかけている。
★南アフリカ変異株 香港で感染2例を確認
日本政府は対象9か国への水際対策強化
南アフリカ共和国等で確認された新型コロナウイルス感染症の新たな変異株(オミクロン株)について、日本政府は「水際対策上特に対応すべき変異株」とし、南アフリカと周辺国のエスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、レソト、及びザンビア、マラウイ、モザンビークを合わせた9か国を、同変異株に対する指定国・地域に指定した。これらエリアからの入国者には検疫所指定の宿泊施設で10日間待機を求める。岸田文雄首相は同9か国からの入国に関して「ビジネス分野や中長期在留者に対する例外的な措置も一切適用しない」として、事実上入国を止める方針を示した。
一方、香港の有力紙「文匯報」によれば、すでにオミクロン株は、香港でも27日までに空港ホテルの停留者2名から感染例が見つかるなど、アジア地域にも波及していて、感染力の高さやワクチン接種効果の低減化が懸念される。今後の状況次第では、今月より制限付きで緩和されたばかりの日本の水際対策にも、大きな影響を与える恐れがある。
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厚生労働省は留学生等、新規で入国を予定している外国人に関して、受入れ責任者が「業所管省庁」に「審査済証」申請を行う際の電子申請窓口を設けた。「入国者健康確認システム(ERFS)」と呼ばれる新たなシステムでは、受入れ責任者が申請後に入国予定日など入力情報の修正を行なうことも可能になる。審査済証の発行等も、全てERFS上で行われるという。
ERFSの利用には事前に所定のサイト(https://entry.hco.mhlw.go.jp/)よりログインIDを申請する必要があり、審査には数日間かかる見通しだ。EメールでID、パスワード、証明書が届いた後、証明書ファイルをPCにインストールするとログインが可能となり、情報登録後に「業所管官庁」に申請を行う流れとなる。待機機関終了後の報告も同システムが活用でき、もし入国後に本人が健康確認を怠るなど違反がある場合には、入国者健康確認センターからEメールで通知が届くという。
また文部科学省によれば、留学生の新規入国申請でERFSを利用する場合は、活動計画書、入国者のパスポートの写し、在留資格認定証明書(写)を電子システム上で提出し、その他の内容は、システムから入力する形となる模様だ。待機期間短縮のためのワクチン接種証明書(写)については、同省に事前提出する必要はない。文科省では12月1日までは従来の方法による申請も受理するが、今後は可能な限りERFSを利用した登録・申請を行うよう呼びかけている。
(留学生新聞ニュース)
今年9月の1か月間に「留学」の在留資格を得て、新たに日本へ入国した外国人の総数が665人だったことが関係機関のまとめで分かった。前月(8月)の286人からは倍増している。新学期を前に、国費留学生や「特段の事情」で入国を許可された人が増えた影響とみられる。
「留学」新規入国者を出身国・地域別内訳でみると、マレーシアが160人で最も多く、9月に限っては中国(147人)を上回っている。以下、バングラデシュ(49人)、ミャンマー(46人)、台湾(37人)のほか、韓国とタイが各27人、インドネシアが24人となっている。ベトナムは18人だった。
9月時点では留学生に対する日本政府の水際対策はまだ緩和されておらず、新規入国は特段のケースのみに限定されていた。
これにより、2021年の「留学」新規入国者は1月から9月までの累計で8408人となった。
またすでに「留学」の在留資格を所持し、9月中に日本へ戻った再入国留学生は、前月比約3倍の3423人となった。出身国・地域別では中国(1863人)が過半数を占めており、韓国(780人)、台湾(75人)、モンゴル(58人)、インドネシア(41人)が続いている。
〜日越首相が会談、共同声明で留学生にも言及〜
岸田文雄首相は24日、日本を訪れているベトナムのファム・ミン・チン首相と首相官邸で会談した。会談後に双方が発表した共同声明には、ベトナム人留学生と技能実習生に関する内容も盛り込まれた。同声明では「日本経済及び日本社会において重要な役割を果たしているベトナム人技能実習生及び留学生に係る問題への対応について、協力を強化することで一致した」と明記。「彼らの生活環境や生活条件、社会保障を向上させる必要性」を踏まえ、両首相が関係当局に対し問題への取り組みで協力するよう指示したとしている。技能実習制度の適正な運用のため、システムの構築に向けた協力を進めることでも一致した。外務省によると、会談で岸田首相は「ベトナム人材は日本経済を支える大切な存在である」と述べたという。
日本とベトナム・ASEANとの関係は、再来年(2023年)に日越外交関係樹立50周年と、日本・ASEAN友好協力50周年という、二つの大きな節目を迎える。日本政府は新型コロナウイルス対応で、ベトナムに対しすでに実施済みの約408万回分のワクチン供与に加え、追加で約154万回分の提供と、開発・製造に関する技術移転の方針も表明した。ポストコロナを見据え、戦略的パートナーと位置付けるベトナムとの人的交流を、さらに強化していく方針とみられる。
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