インフォメーション
〜留学生等の回復傾向は鮮明も 観光客の受入れ含めた先行きは不透明〜
日本政府観光局(JNTO)によれば、今年3月の「訪日外客数」は6万6100人となり、8か月ぶりに5万人を超えた。同月1日より日本政府が水際緩和に踏み切り、観光目的以外の新規入国が再開されたことが寄与した。「訪日外客」とは、外国人の正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等の外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた「入国外国人旅行者」を指す。駐在員やその家族、留学生等の入国者・再入国者は訪日外客に含まれる。
3月の訪日外客を出身国・地域別にみると、ベトナムが1万100人で最も多く、中国(9800人)、韓国(6700人)、インドネシア(5500人)、米国(3200人)、台湾(2500人)等が続いている。
訪日外客数自体は徐々に回復傾向にあるとはいえ、今年3月の数は、新型コロナウイルス感染症の影響が無かった2019年3月時点(約276万人)との対比ではわずか2%にすぎず、観光目的の入国が認められていないため、平時とは依然大きな落差がある。
最近は感染状況の変化を受け、国際的にも規制緩和に踏み切る国が増えてはいるものの、主要な国・地域から日本への航空便は今なお大幅な運休や減便が続いている。留学生や技能実習生の入国者数は3月以降、回復傾向が鮮明だが、一般観光客の受入れ再開までにはまだ相応の時間を要する可能性が高い。JNTOでは今後の推移について、各国の防疫状況や出入国規制の変化等に加え、ウクライナ情勢の動向も十分注視していく必要があるとみている。
★「受付済証」発行が約38万件に 月内にも40万件到達が視野
ERFS(入国者フォローアップシステム)による入国希望者向け「受付済証」の発行総数が、昨日時点で約38万件に達した。現在、外国人が留学等を目的に来日を希望する場合、学校等の受入れ機関が事前に該当者の「受付済証」をERFSで申請・取得する必要があり、その発行数は近く新規で日本への入国を予定している外国人の規模を見る上で先行指数となる。
厚生労働省入国者健康確認センターのまとめによると、4月20日18時時点の発行総数は37万9982件。直近の一、二週間における平日は一日あたり2千件台で推移していて、現在のペースが続けば4月中にも30万件の大台に到達する公算が高いとみられる。政府は今年初めの時点で、在留資格認定証明書(COE)の交付を受けながら来日できていない待機外国人が約40万人いることを明らかにしていた。
★ウクライナの学生支援に14大学が着手
文部科学省はこのほど、ウクライナの学生に対する日本の大学等による支援策について調査を行ったが、同調査に協力した日本学生支援機構(JASSO)が調査結果の概要を公表した。20日時点で全国14大学(うち私立4大学)がウクライナ学生向けに何らかの支援策を実施しており、授業料・入学費等を免除する学費支援、大学宿舎等の無償提供、生活費支援等のほかに、オンライン授業による受入れや渡航費用の支給を決めた大学もある。各大学の支援内容に関する詳細は、下記リンクにて随時更新される。
https://www.studyinjapan.go.jp/ja/other/news/000164.html
【お知らせ】 「扉を開く会」が23日に都内で留学生歓迎イベント開催
入国制限下で留学生ら外国人の入国再開を訴え続けてきた「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」では、今週末4月23日(土)に東京・代々木公園で、「日本留学歓迎イベント」を開催する。「来日したばかりの留学生にとって、友達を作り、外で楽しむ良い機会になる(主催者)」。同会では開催に際し、来日留学生への贈答品提供を呼びかけ、すでに本・教材やギフトカードが集まっているという。
当日の参加に際し事前予約は不要だが、同会では参加希望者に対して、必ず入国後の待機期間を終了後、マスクを着用の上で参加してほしいとしている。会場への行き方など詳細は下記ツイッターを参照。
日時:4月23日15時〜17時
場所:東京・代々木公園
行き方:https://twitter.com/rossi_davide/status/1516203077506060288
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航空券の取得が困難な来日留学生をサポートするため文部科学省などが設けた「留学生円滑入国スキーム」に、中国キャリアの深圳航空(広東省)が新たに加わった。今月17日以降の日曜日に成田空港へ到着する深圳からの航空便が、追加で利用可能となる。
当初、日本政府は金曜日から日曜日までの到着便については円滑入国スキームの対象外としていたが、中国やネパール等一部国については就航便の運航数自体が限られており、当初の枠内では留学生らの入国に支障が出かねないと判断。すでに今月8日以降、大連、広州、上海、福州及びカトマンズの各地から成田へ向かう週末便も一部利用できるようにした。
末松信介文部科学大臣は12日の会見で、同スキームによりすでに約300人の仮予約が完了したことを明らかにしている。
★首相、海外の大学誘致で「スタートアップ」集積のキャンパスづくりを
岸田文雄首相は12日に行われた「新しい資本主義実現会議」で、今後海外の大学誘致を含め、「スタートアップが集積するキャンパスづくり」を進める方針を表明した。一般的に「スタートアップ」は新たな価値観を生み出すことで、前例のない新規ビジネスを創出するイノベーションを意味する。首相は、優れたアイデアや技術を持つ若い人材への支援策を抜本的に拡充すると述べたほか、人材の流動化については日本経済団体連合会(経団連)会長に協力を仰ぎつつ、副業・兼業を認める企業数を拡大していく考えも披露した。
★JLPT7月試験 欧州2都市が早くも中止に
今年7月に行われる予定の第1回日本語能力試験(JLPT)で、早くも新型コロナウイルス感染症拡大の影響が出ている。運営団体によると、国外の実施会場の内、ドイツ・ハンブルクと英国・エディンバラの2会場で予定されていた試験が行われないことが決まった。現時点でアジア諸国においては中止等は出ていないが、この内、中国当局は先月時点で、今後の感染状況次第では政府部門の指示に従い試験が中止となる可能性も排除できないとしており、コロナ感染終息の見通しが立たない中、実施の先行きは依然として不透明なままだ。
★受付済証の発行件数 36万5千件に
新規入国を希望する外国人向けに入国者フォローアップシステム(ERFS)を通じて発行された「受付済証」の件数が、昨日18時までの総数で36万5545件となった。今週に入ってからも11日以降一日あたり3千件前後と、先週までとほぼ同じペースで推移している。上記の数はいずれも留学生のほか、技能実習生等、全ての在留資格に該当する人を含めたもの。
末松文科大臣、5月末までの待機留学生解消へ「最大限の努力を続ける」
末松信介文部科学大臣は12日の会見で、3月以降にこれまで約3万人(速報値)の留学生が日本へ入国したことを明らかにした。一般の入国枠での来日は順調に進んでおり、一般枠で予約が困難な中国やネパールからの航空便についても「留学生円滑入国スキーム」による手配を補完的に行っていて、これまでに同スキームにより約300人の仮予約が完了したという。文部科学省関係者はこの実数に対する評価を問われ、同スキーム自体が一般入国枠で航空券が取れない場合の補完的な制度で、留学入国者全体ではすでに昨年1年間の入国者数(1万1千人)を超えているとの認識を示した。同省としては引き続き、待機留学生が着実かつ円滑に入国できるよう全力を挙げて取り組むとしている。
一方、2月下旬時点で約11万7千人と見込んでいた待機留学生の今後の入国見通しについて末松大臣は「ここに来て入国のピッチはかなり上がってきており、(5月末までに全員入国という当初目標に向けて)概ね順調に推移している。(引き続き)最大限の努力を続ける」と述べた。ここにきて新型コロナウイルス感染症の新たな変異株XE系統が国内で初めて確認されるなど懸念材料も出ているが、政府は今月10日より、一日あたりの入国者総数上限を7千人から1万人程度に引き上げており、末松大臣は「今回の水際対策の緩和により、(留学生の)入国のさらなる加速化を期待している」と述べた。
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厚生労働省が4月8日時点で公表したデータによると、3月20日から26日の1週間に、日本へ入国した外国籍者の空港検疫における総検体数2万8026件の内、陽性検体数は454件、陽性率は1.6%で前週(1.8%)よりやや低下した。陽性検体の7割以上(329件)が、検疫所指定施設で待機が必要な指定国2か国からの入国者に集中している。なお上海市など一部エリアで感染の急拡大が伝えられる中国からの来日者は、検体数3628件で陽性は1件に止まった。同数値は現状との時間差もあることから、引き続き今後の影響を注視していく必要がある。
一方、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株で従来よりも感染力が強いとされるXE系統に関し、松野博一官房長官は7日の会見で、「現時点では検疫や国内において(感染例が)確認されたとの報告は受けていない」としながらも、引き続き諸外国の状況や知見等も収集しつつ、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていく方針を表明するなど、警戒感を示した。
★「観光客を除く外国人」の入国枠を拡大中
〜岸田首相、観光目的の受入れ再開には慎重姿勢〜
岸田文雄首相は8日夜に会見を開き、水際対策に関連して3月1日から「観光客を除く外国人の入国を拡大していく方針」を打ち出したことを踏まえ、政府として直近で1日の入国者数を1万人に広げるなど「枠を拡大してきているところ」だと述べた。
観光を目的とする外国人の受入れについては「今後も感染状況とか、国際的な各国の動きとか、こういったことを見ながら、適切に判断していかなければならない」と述べるにとどめた。そして具体的な再開の予定は確定していないとして、「水際対策全体の流れの中で、これからの動向もしっかり踏まえた上で、判断していきたい」と繰り返した。
また岸田首相は、ウクライナ避難民の円滑な渡航を念頭に、日本政府として当面毎週、ポーランドからの直行便の座席を借り上げるなど、積極的な受入れをさらに進める方針を表明した。一方でこうした取組みをシリアやミャンマー等、ウクライナ以外の難民も対象に広げていくかについて問われた際には、改めて国会論議も踏まえながら対応していく課題との認識を示し、現時点での運用変更等については考えていないと明言した。
★「受付済証」の発行件数が35万件超える
新規入国希望者向けに入国者フォローアップシステム(ERFS)を通じて発行された「受付済証」の件数が、4月7日までの累計で35万件を超えた。同システムは2月25日に受付を開始してから数日間で申請が20万件に達するなど終始ハイペースで推移。4月10日までの45日間で交付が35万6337件と、今年1月時点で入国待機中だった外国籍者の総数(約40万人)に迫っている。ただ一部の国・地域の在外公館では、査証(ビザ)給作業が追い付いておらず、入国までの手続き迅速化が引き続き課題と言える。
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政府は新型コロナウイルス感染症をめぐる世界的な状況を受けて、これまで入国前14日以内に162の国・地域に滞在歴がある外国人を上陸拒否の対象としてきたが、4月8日よりこの内106か国・地域を対象から除外することを決めた。引き続き上陸を拒否する56の国・地域は中東・アフリカや中南米、欧州の国々で占められ、アジア諸国は全て解除される。
同措置は2020年春のコロナ拡大以降、政府が累次にわたって指定してきたもので、最初の対象は武漢のある中国湖北省や浙江省等だった。その後、当初指定された中国大陸、台湾、韓国等は感染状況がいったん鎮静化したことに伴い同年11月に解除され現在に至っている。この間に世界的な感染拡大を受けて、入国禁止の対象は逐次拡大の一途をたどり、今月初旬時点では162の国・地域に及んでいた。
今回の大幅な除外に伴い、論理上は外国人の入国を一律で禁止する措置が、世界の大半の国・地域を対象に見直されることになるが、来日留学生等をめぐっては運用上の大きな変更はない。解除対象とされたところでも、新規入国に際しては引き続き現地の在外公館で査証(ビザ)の事前取得が必要だからだ。また今年3月以降の留学生のように、政府が「特段の事情」があると認めれば、上陸拒否対象国・地域であってもすでに入国は可能となっている。ただ大きな枠組みとしての上陸拒否が撤廃されていくことで、観光等の往来正常化へ向けた前提条件が徐々に整うという象徴的な意味合いがある。
★検疫所指定施設での3日間待機は7か国に
政府は本日(7日)から入国時の検疫強化対象国・地域を再度見直し、検疫所が指定する宿泊施設で3日間待機を求める対象国からサウジアラビアを外し、自宅等における7日間待機へと変更した。これに伴い、7日以降の該当国は韓国、ベトナム、スリランカ、パキスタン、エジプト、トルコ、ロシアの7か国となる。
★インド製不活化ワクチンも入国時に有効~厚労省が容認
海外から日本への入国に際し有効なワクチン接種証明書で、厚生労働省は2回目までの接種対象ワクチンとして新たに、インドの製薬会社バーラト・バイオテック(Bharat Biotech)が開発した不活化ワクチン「コバクシン(Covaxin)」を加えた。4月10日0時より適用となる。但し同ワクチンの2回接種者でも、3回目についてはファイザーやモデルナなど他の指定ワクチン接種が要件となる見通し。コバクシンはすでにインド国内で承認されているほか、2021年11月に世界保健機関(WHO)が緊急使用リストに追加した。
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